コラム

お手軽スポーツ賭博がイギリスを蝕む

2025年04月02日(水)16時06分

従来なら、サッカーファンは特定の試合のスコアを予想しようとしたり、リーグ優勝のために自分のチームを応援したりするものだった。

今では人々は、「両チームとも得点する」「アーセナルが2点差以上で勝つ」「イエローカードが3枚出る」などに賭けるようになった。1つの試合の中でだ。


さらに試合中にはスマートフォンで、「次に点を入れるのはどちらのチームか」の賭けを追加することもできる。そして試合残り10分の時点で「現金化」を選択するのも可能。

アーセナルはいま2点差で勝っているが、相手がこれから得点するかも......そこでリアルタイムで少額の勝ちを確定しておくか、賭けを継続するかを選べるのだ。言い換えれば、ギャンブラーは複雑で刻々と変化するプロセスにどっぷり漬かっている。

最終的には、ある人は2つの賭けで勝って2つで負けたりするかもしれないし、オンライン口座からカネが出入りするからその日に結局得したのか損したのかさえ分からないかもしれない。

賭けをするために馬券売り場(いわゆる「賭け屋」)に行き、ポケットに紙切れを入れて出て来る(その紙切れは落胆でビリビリにされるか換金のためにまた持ち込むかのどちらか)なんていう時代とは大違いだ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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