コラム

紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ使い回しをやめるまで

2025年04月05日(土)20時35分
使用済みティーバッグ

使用済みティーバッグでいれた紅茶の味は… BILDAGENTUR-ONLINE/UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES

<再利用紅茶はおいしくない...そんなことは十分わかっていたのだが>

僕は重要な節目を迎えた――4月になったが、2025年の新年の決意をまだ守り続けているのだ。

周知のとおり、ほとんどの人は1月の1カ月間ですら抱負を守れない。だから、僕が確固たる信念の男であることが分かるだろう。


ほとんどの場合、人は現実的でない目標を設定するから失敗する。毎日5キロ走ると宣言するカウチポテト族、お酒をやめるだけでなくパブ通いもやめて空いた時間でポルトガル語を習うぞと豪語する酒飲み......などなどだ。

だから、まるで野心的でない僕の決意を聞いて拍子抜けすることは間違いないだろう。僕は、ティーバッグ1個は1回しか使わないことに決めたのだ!

思ったよりはこれが大変なことを指摘しておきたい(少なくとも、僕にとっては)。なにしろ35年間しみついた習慣だ。喫煙者が35年間吸い続けたタバコをやめたと聞いたらどんなに心動かされるか考えてみてほしい。

紅茶は緑茶とは違う

学生時代、お茶を飲むことは僕のライフスタイルの大きな部分を占めていた。僕は勉強中や友達と過ごす間に1日5杯くらいは飲んでいた。それでいてどうしようもなく金欠で、なんであれ節約方法を探していた。2つの使用済みティーバッグを使って、ほどほどいける3杯目のお茶がいれられることに気付いたのだ。

節約できるのはわずかな金額だが、長い間積み重なればおそらく幾分かの効果はあっただろう。

本来、イングリッシュティー(紅茶)でこんなことをしてはいけないもの。紅茶は、同じ茶葉で2回目やさらには3回目までおいしくいれられる日本や中国の「緑茶」とは違う。

2回目以降に使い回すと、紅茶は1)薄くなり、2)渋みが出て苦くなり、バランスが崩れる。浸す時間を長くして(3分でなく5分にするとか)濃くすることはできるが、渋みは強くなってしまう。だから一方を取れば他方がうまくいかない。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上

ワールド

ガザ支援搬入認めるようイスラエル首相に要請=トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 9
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story