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パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

中居正広氏の性加害スキャンダルも見逃がさないフランスの性加害報道

この日のトップ半面は、アベ・ピエール神父の性加害報道  筆者撮影

昨夜の20時のニュース番組のトップは、恐らくフランスで知らない人はいないと思われる、現在のフランスでの慈善活動の柱となっている「エマウス」や「アベ・ピエール財団」などを設立した人物「アベ・ピエール」の性加害問題でした。この人物の性加害問題については、すでに昨年の7月に大々的に取り沙汰されていましたが、今回、また新たに9人の犠牲者が告発しており、これまでに33人(当時の未成年を含む)が被害を告発しているというものでした。

アベ・ピエールのもともとのルーツはカトリックの司祭ですが、彼はすでに2007年に94歳で亡くなっています。しかし、彼は最近までは、貧しい人々の司祭として、多くの人々の共通の記憶に残っている、長い間、フランス人に人気の人物であり、ホームレスや劣悪な環境に身を置く人々の擁護者という聖人・偉人に相当する人物でした。

この神父の性加害行為は、現在では、その慈善団体を後継している者たちが外部組織の調査専門会社を立ち上げ、調査を継続していますが、この性加害は「1970年代後半から2005年にかけて継続的に行われていたものであった」ことがわかっており、これだけ長く、継続されてきた中には、過去、被害者からの申し立てがあったにもかかわらず、それが握りつぶされてきた経緯もあり、また、この性加害は、慈善活動という大義名分の中で、絶対的な支配関係、また、この被害が国内、海外にも及ぶことから、宿泊先のホテルまでもがこの性加害に協力してきたことが明らかになっています。

この調査報告書は、「年齢差、ピエール司祭の地位、そして一種の『偶像崇拝』によって培われた支配の一形態、彼とその周囲に従属的な関係が培われてきたこと」、「隠蔽がさらなる悲劇を生んだ」ことなどが、挙げられています。思うにこのような著名人の性加害の場合、この『偶像崇拝』や、『従属的な関係』は、共通項と言えるかもしれません。

フランスでの中居正広氏の性加害報道

フランスでは、もはやここ数年、定期的といっていいくらい、有名人の性加害報道は、テレビでも新聞でも容赦なく取り沙汰されています。昨年末から、日本で中居正広氏の性加害問題が大炎上していることは、なんとなくYouTubeなどで見ていましたが、相変わらず、テレビを含む大手マスコミの報道は、奥歯にものが挟まった、お互いを忖度しあうような煮え切らない様子に、ジャニーズ問題の時のように外圧がかからなければ動かないのか?と思っていましたが、とはいえフランスでは、そこまでメジャーではない中居正広氏の問題などは、取り扱わないのだろうと思っていたら、フランスでは「BFM」、「20 minutes」、そして仏大手の 「Le Figaro」誌までもが報道していました。

フランスでの性加害事件は決して少なくはなく、年間約58万人の女性が被害に遭っていると言われているので、一見、とても矛盾しているとも思われるのですが、一面では、フランス人は性加害の被害者などを含めて、一般的に弱い者に対してとても優しいという一面もあります。なので、この加害者が著名人であったり、ある意味、権力者であったりすることは、絶対に許せないというところもあるのです。

今回のフランスでの中居正広氏の性加害疑惑の報道からは、早や1週間ほど経っており、その後の続報は現在のところ出ていないようですが、逆に言えば、日本のテレビ局がほぼ、口を閉ざした状態であった段階で報道していることは、注目に値することでもあります。

報道内容は、「日本の元ボーイズバンドのスター 性的問題でテレビ番組降板」といったタイトルで、「日本の一部メディアが報道した性的問題と慎重に表現した問題で女性に55万5千ユーロを支払って和解」、「日本テレビのバラエティ番組は、この報道を受けて、中居正広氏の出演部分を全面カットという異例の編集をして放送、翌日、フジテレビが中居正広氏出演の週刊番組を当面の間、中止すると発表し、この決定は、状況を総合的に検討し、当人の最近の状況を考慮したうえで下された」と説明しています。

また、この詳細に関しては、被害者・加害者間での秘密保持契約が結ばれているため、公表できないとしていますが、AFP(Agence France Press)が中居正広氏の所属事務所に取材を申し込んでいるものの、回答は得られていないことも付け加えています。

フランスの有名人の性加害疑惑の報道では、加害者と言われる著名人も堂々と一対一のインタビューに答える映像なども出てきて、見ている方は、「どの口が言うのか?」と思われるようなことを堂々と発言していたりする場合もあるのですが、ある意味、マスコミ報道の観点からすると、被害者、加害者の両方から本人の話を直に聞く映像や記事を報道する方が双方に公平な取材であるという考え方もあるのではないか?とも思われます。

今回の中居正広氏の報道には、彼がSMAPという1990年代の日本やアジア諸国で絶大な人気を誇るグループのメンバーであったことや、このグループが何十年にもわたって名声を求める少年たちに性的暴行を加えてきたジャニー喜多川氏率いるジャニーズ事務所に所属していたことも付け加え、「今回の事件は、ジャニー喜多川問題に端を発している」と書いています。

フランスでの報道では、現在のところ、この問題に関して、テレビ局が関わっているかどうかということに対しては、あまり触れてはいませんが、この「ジャニー喜多川問題に端を発している」という一文を、単に、「このような事件が表沙汰になりやすいきっかけになったのがジャニー喜多川問題だった・・」と読むこともできますが、「中居正広氏がこのような事務所の環境で芸能生活を続けてきたことが性加害の「負の連鎖」となっている」と読むべきか?考えようによっては、テレビ局が関与しているかどうかとは、別の意味で深掘りしているとも読めないではありません。

後を絶たないフランスの著名人の性加害報道

ここ数年で、私が知るだけでも、フランスの著名人の性加害報道は、忘れた頃にやってくる・・といった感じに次から次へと出てきます。前述した「アベ・ピエール神父」、「ラジオ番組人気司会者」、「レジオンドヌール勲章まで受賞している超有名俳優ジェラール・ドパルデュー」、多くのマスコミ媒体にも登場していた元パリ第8大学教授の「トップ精神分析医」、「登録者1200万人超の人気ユーチューバー」などなど、どの場合も容赦なくテレビを含めたマスコミは報道しており、そのほとんどに警察が介入しています。

そして、その多くは顔出しはしないまでも、被害者はカメラの前で証言し、加害者の多くもインタビューに答えています。性加害事件となれば、警察が介入するのも当然といえば、当然です。

また、日本のこういった事件についてもジャニーズ問題はもちろんのこと、松本人志氏の問題も報道していました。

少なくともフランスの報道機関には、ある種の使命感といったものが強く感じられます。本来、報道機関というものは、そういう機能を果たすべきものであるだろうし、日本の大手新聞社を含むマスコミがもはや機能していないことは、安倍元首相の銃撃事件の際に、「日本の大手新聞、安倍元首相銃撃事件の翌日、全社揃って同じ見出し!」、「日本の報道機関には、プライドの欠片もない!」などと日本の報道を痛烈に批判する記事もフランスでは報道していました。

この中居氏の報道に関しては、日本のSNS界隈では、事の真偽はわかりませんが、ちょっと加熱しすぎで、他にも、大変な問題があるのでは・・?と思わないでもありませんが、それもこれも、大手マスコミの間になにかを隠蔽しようとしているのが見え隠れしていることもあるのかもしれません。

少なくとも、日本のテレビよりも先に、海外のメディアが報じてしまう・・などという状況はみっともないことです。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



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