World Voice

パリのカフェのテラスから〜 フランスって、ホントはこんなところです

RIKAママ|フランス

最近、感じるパリの食文化の変化

最近、人気のケバブ屋さん スパイシーなお肉と10種類以上の野菜がグリルだったり生だったり食感よく調和している 筆者撮影

ここ数年でパリの食文化はずいぶん変わったのではないか?と、最近、よく思います。簡単に言えば、いわゆるフレンチビストロのようなお店ではなく、良く言えば、日本ほどではないにせよ、国際色豊かになったというか、お手軽な感じのお店、テイクアウトが主流のお店がグッと増えたという気がします。

そもそも外食はけっこう高いイメージがあった(実際に高い)パリで、一般的にカフェやビストロなどで食事をしようと思ったら、ランチでさえも安くて20ユーロ前後(約3,200円程度)はかかります。このため、一時はBENTOブームなどと呼ばれてお弁当箱が流行したりもした時期がありました。

パンデミックを機に、国からの援助はあったとはいえ、飲食店は大きな打撃を受け、これを境に多くの店舗が入れ替わる事態が起こりました。そして、消えていったお店の後にでき始めているのは、もっとお手軽な感じのテイクアウトが主流の店舗やいわゆるフレンチではないアジアだったり、アラブだったり、比較的、低価格帯のお店です。

これまで「食」に関して、比較的、保守的だと思っていたフランス人の食生活に変化が起こり始めたのか? はたまた、これが移民が増加していることによるものなのか? 理由は、色々と考えられますが、お手軽モードの国際色豊かなお店が増えた気がします。

テイクアウト層がターゲット

この外食産業の変化は、なかなか顕著なもので、既存のブーランジェリーなどでも、その路線拡大には、最近、目を見張るものがあります。あれこれ言っても、フランス人はパンが好き。テイクアウトの筆頭はおそらくサンドイッチだと思いますが、これまでブーランジェエリーにあるサンドイッチといえば、バゲットにハムやチーズを挟んだものなど、それも突き詰めれば、クォリティで勝負することはできるかもしれませんが、それよりも、サンドイッチにしても、もっとバラエティに富んだピタパンのような薄手の生地に様々な具材を盛り込んだサンドイッチやハンバーガー、中には、ちょっと簡単なパスタ料理などを置く店舗も増えてきました。話によると、ここ最近のブーランジェリーの売り上げの30%以上は、このテイクアウト商品によるものだとも言われています。

また、スーパーマーケットの食品売場などにしても、「えっ?ここ日本?」と思わず、一瞬、目をこするような光景、おにぎりやお寿司がズラーッと並んでいたり、いわゆるお弁当のバックにご飯におかず、なんていうお弁当もけっこうあったりして、またテイクアウトの食品売場自体を地上階に移動させて、明らかに、このテイクアウト層の売上げを見込んだレイアウトになっていたりもします。

昨年、発表された「働く人の一番好きなレストラン」で見事、堂々、一位を獲得したのが「マクドナルド」だったりしたのも、けっこう衝撃的でしたが、この「マクドナルド」が人気の理由、「早い、安い、美味しい」を他のテイクアウト食品を扱うお店も狙っており、それが拡大しているのがわかります。

お昼時のパリの街中を見ていると、テイクアウトのお店から持ち帰る紙袋を持っている人がいかに増えているか?がわかります。中には、「これ?この値段で買う?これくらいなら、自分でお弁当作るのにな~」と思うものもありますが、ふつうに外食することを考えれば、全然、割安、このテイクアウトの価格帯を見て見ると、だいたい10ユーロ前後のようです。

注目されつつあるストリートフード

一昨年、パリ市庁舎の前で「ストリートフードフェスティバル」というのがあって、「パリでストリートフードってどんなものをやっているんだろう?」と思って、覗きに行ったことがありました。ストリートフードといえば、私がイメージしたのは、屋台のようなものでしたが、それは、パリには、以前から「カミオン・ピッツア」という文化?があって、小型トラックというか、バンのような車でピザを売りに来るというものがありました。このストリートフードフェスティバルは、この「カミオン・ピッツア」の中身が色々な種類のものになっていて、ハンバーガーだったり、中華料理だったり、アフリカ料理だったり、国際色も豊かな食べ物を扱う小型トラックがパリ市庁舎前の広場に展開されていました。

これは、期間限定のもので、その時だけの催しものではありましたが、それと、同じくらいの時期に、なんと、あの「ギャラリーラファイエット・グルメ」の1階(日本でいう2階)に、これまでカーヴ(CAVE)として、ワインやシャンパンが華麗に並べられていたスペースを使って(今でも縮小されてはいますが、カーヴは残っています)、「レ・ヌーベル・ターブル・デュ・グルメ」というフードコートのようなスペースがオープンしました。

newsweekjp_20250330124950.jpg

このフードコートは、「世界中のストリートフードからのインスピレーション」をテーマに出店しているというコンセプトで、地中海料理、アフリカ料理、インド料理、日本料理(ラーメンや丼ものなど)のお店がさすがにギャラリーラファイエットだけあって、ちょっと小洒落た感じになって並んでいます。若干、場所がらもあって、ストリートフードにしては、お高めではありますが、なるほど、バラエティー豊富でなかなかの賑わいです。

また、先日、久しぶりにビブリオテック(フランス国立図書館)のあたりに行ったら、この辺りは、なかなか奇抜なデザインのビルなどもけっこうあり、おそらく、文化的な発展を目指しているような感じのするところで、巨大な図書館を始めとして、映画館や名だたるビッグブランド(といっても、スポーツ用品だったり、電気メーカーだったり)や、おしゃれなカフェなど、フランスにいれば、必ず見たことがあるようなお店がほぼほぼ揃っています。

newsweekjp_20250330125552.jpg

そんな中で映画館前の大きな広場のようなスペースがリアル「ストリートフード広場」になっており、ピザ、ハンバーガーのみならず、ケバブや中華、モロッコ、アフリカ、スペイン(パエリア)などのカミオン(小型トラック)が集結している場所ができていました。これは、フェスのような一時的なものではなく、日によって、お店は違ったりすることもあるものの、ストリートフードカミオンの集結場になっていて、これが広々としていて、気持ちよく、昼時などは、近隣のオフィスで働く人々や映画館に来たお客さんなどで賑わっています。価格帯はだいたい10ユーロ前後なので、なかなかお手軽でボリューミーでもあります。

パリのファストフードといえば・・

最近は、パリのカフェでも、クロックムッシュよりもハンバーガーを食べている人の方が多くなった・・という話は以前に書いたことがありましたが、おそらく、フランスでのハンバーガー人気は、やっぱり不動のものだと思います。カフェなどでも、クロックムッシュはなくともハンバーガーはあるというお店は多いし、ブーランジェリーにさえも、ハンバーガーはかなりの確率で存在しています。また、何よりもマクドナルドの人気は、それを証明していると思います。

そんな中で、以前から、けっこう根強いカタチで存在し続けているのが「ケバブ」で、これも、もはやパリのファストフードの代表格と言っても差し支えないほど、あちこちに存在します。ハンバーガーにしても、ケバブにしても、「要は、肉とパンが好きなのよね・・」と思ってしまいますが、これがなかなか奥深いもので、最近、パリで人気のケバブは、創意工夫を凝らしたものが出没してきて、なかなか侮れない感じでもあります。

やはり、低価格(10ユーロ前後)というところが、人気の大きな理由ではあると思いますが、人気のケバブ店などは、周囲のレストランが閑散としていたりする中、大行列ができていたりもするのには、目を見張るところがあります。

これまでのケバブは、大きく積み重ねられる肉のロールが焼けていくところを削ぎ落してくれて、ピタパンのような薄手の生地に少々の生野菜とともに挟んでお好みのソースをかけてくれるのが一般的なのですが、このスパイシーに焼かれた肉だけでなく、生野菜だけでなく、たくさんの種類のグリル野菜や素揚げした野菜を使ったり、そこにまた、生野菜のシャキっとした食感を加えたりと、かなりのクォリティを追求しています。

こういう店舗はそれこそ、テイクアウトが主流なので、店舗自体には、あまりお金をかけておらず、スペース的にも小さいお店が多く、最低限の人員で運営しているために、コストパフォーマンスもよく、値段もやはり10ユーロ前後に抑えられています。

正直なもので、お客さんは、しっかり、安くて美味しいお店には集まるもので、人気店では本当に飛ぶようにケバブが売れていきます。

こうして、パリのテイクアウト事情を見てみると、だいたい、価格帯は10ユーロ前後が主流のようで、これでは、伝統的なフレンチビストロが衰退するのもわからないではありません。

しかし、消費者の立場からすれば、低価格帯で、色々な種類の食べ物が手に入るようになってきたことは嬉しいパリの変化でもあります。

 

Profile

著者プロフィール
RIKAママ

フランスって、どうしようもない・・と、日々感じながら、どこかに魅力も感じつつ生活している日本人女性。日本で約10年、フランスで17年勤務の後、現在フリー。フランス人とのハーフの娘(1人)を持つママ。東京都出身。

ブログ:「海外で暮らしてみれば・・」

Twitter:@OoieR



あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

あなたにおすすめ

Ranking

アクセスランキング

Twitter

ツイッター

Facebook

フェイスブック

Topics

お知らせ