
ドイツの街角から
ドイツ・就業者の最も多い病気と欠勤日数は?

あるときは風邪、あるときは背中の痛み。 ドイツ人は一体どのような病気で、そしてどのくらい会社を休んでいるのだろうか?
病欠は年間一人当たり平均24日
ドイツの大手法定健康保険会社は毎年3月頃、病欠をテーマとした分析レポートを発表している。そこでドイツの就業者の病気や病欠日数を探ってみた。
法定健康保険大手AOKの調査によると、同社被保険者における2024年の病欠は年間一人当たり平均24日間だった。これは、前年度(2023年)の水準であり、過去最高であったコロナパンデミック時の2022年(24.5日)をわずかに下回っている。
そして病欠期間の3分の2以上(71%)は、約1週間だった。 このような短い病欠届が頻繁に出されているにもかかわらず、全病欠の23%を占めるに過ぎない。 一方、6週間を超える病欠は3.3%で、全病欠の40%を占めた。 つまり、長期の病欠届けが企業の欠勤率に大きな影響を与えていることを示す。
この調査を手がけたAOK学術研究所(WIdO)のヘルムート・シュレーダー所長は、「職場の健康増進という観点からの予防対策は、特に長期欠勤を伴う病気に焦点を当てるべき」とコメントしている。
注・ここではAOK(Allgemeine Ortskrankenkasse の略)の被保険者を対象とした調査結果を紹介しているため、就業者と表記した。AOKの市場シェアは約37%。ドイツの人口のほぼ3分の1に医療を提供している。
病欠理由・最も多いのは呼吸器疾患
2024年の病欠は、基本的に6つの主要疾患群によるという。 筋骨格系疾患、呼吸器系疾患、怪我、精神・行動障害、心臓血管系疾患、消化器系疾患で、 これら6種類の疾病は、就業不能のケースの61%、就業不能日数の65%を占める。
就業不能証明書を発行した理由で最も多かったのは呼吸器疾患で、4分の1以上(28%)だった。
しかし、平均罹病期間は1件当たり6日と比較的短く、2024年の就業不能日数全体に占める呼吸器疾患の割合は15%。Covid-19パンデミック時の効果的な対策として定着している社会的距離の取り方と衛生規則の遵守、マスクの着用、定期的な換気、在宅勤務が功を成しているようだ。
長期欠勤を伴うことが多かったのは筋骨格系障害によるもので、2024年の就業不能日数の約20%を占めた。これは主に6週間以上続く長期疾病の割合によるもので、9.8%と最も高かった。
また精神疾患も病欠理由に大きな位置を占めている。割合は5%程に過ぎないが、病欠全体における精神疾患の割合は13%だった。1件当たりの平均就業不能日数は29日で、他の種類の病気と比べて長期間の欠勤を引き起こしている。
「優れた企業文化とリーダーシップは、就業者の健康を維持し、長期的に会社に定着させるための重要な要素」と、シュレーダー所長。
職業別に大差...

- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko