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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツワインのDNA「テロワール」を学ぶ旅(3)プファルツ

晴天に恵まれたクライネ・カルミットブドウ畑の景観は時を忘れてしまう美しさ ©norikospitznagel

ワイン生産地の気候や土壌がワインの個性をどのように特徴づけるのかをテーマにワイン産地を巡る旅。ミッテルライン(ライン中流)、ナーエに続き、旅の最終地プファルツを巡りました。 (画像は筆者撮影。2点はドイツワイン協会提供)

ワイン産地国内で第2のプファルツ

プファルツは、ドイツで2番目に大きなワイン産地です。栽培面積 (約24.000ヘクタール))は、北に隣接するラインヘッセン(約27.500ヘクタール)に次ぐ規模を誇ります。西側はプフェルツの森の高地によって守られ、冷たい風と激しい雨から守られており、東側はライン川の低地に接しています。

夏は乾燥していますが暑すぎず、冬は温暖で、地中海性気候に近い微気候が形成されています。土壌は砂岩、石灰岩、泥灰土、ロースローム、花崗岩、スレートなどさまざまです。石灰岩は特に北プファルツに多く、黄土とロームは南ファルツに多く見られます。

プファルツの森に囲まれ、保護されているこの地域のワイン生産者の主な焦点は、古典的なブドウ品種、とりわけリースリング。栽培面積は、ほぼ6.000ヘクタールに達し、今やプファルツのナンバーワンに君臨しています。一方、ピノ・ブランやピノ・グリも増加傾向にあります。シルヴァーナー、ミュラートゥルガウ、ショイレーベなども、プファルツの多様なブドウ品種です。

ナイスワイナリー

世界最大のワインフェスティバル開催地バード・デュルクハイムから北上すること約23㎞に位置するキンデンハイム。ナイスワイナリーは、この街を中心に50ヘクタールほどの畑でブドウを栽培しています。冷涼な北部プファルツの石灰岩が支配する高地で、ミネラルがストレートなリースリングと、生き生きとしたブルゴーニュを生産しています。

newsweekjp_20240829071210.jpg「ワインは、ある種の涼しさと、風にさらされた畑に空気を送り込み、植生期間を長くする西風からの恩恵を受けたブドウで造られています。その結果、適度なアルコール度数、深みのある味わい、十分に発達したアロマ、爽やかな酸の構成が生まれます」と、同ワイナリーを経営するアクセル・ナイスさん(画像上)。

土壌に含まれる石灰分が高く、自然なアプローチと手作業によるおかげで、濃密でコンパクト、力強いプファルツワインに決定的な影響を与えています。

newsweekjp_20240829071308.jpgナイスワインの特徴は、フレッシュなエレガンスと生き生きとした軽さ、そして透明感と素直さ。さらにワインの表現力、複雑さ、そして余韻の長さも同じくらい重要なことだとアクセルさん。搬送はドイツ国内の運送会社と契約。ボトルを軽減するなど、環境保全に努めています。

ブルゴーニュ品種60%、リースリング約20%、赤ワインは約10%などのワインを、年間38万本を生産。国内はもとより、海外15か国へ輸出し、生産の30%が輸出されているそうです。

次はワイン産地フォルスト・・・

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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