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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツワインのDNA「テロワール」を学ぶ旅(3)プファルツ

ウィンド・ラ-ボルトワイナリー

シュピンドラーレストランでランチをとった後、ウィンド・ラボルトワイナリーの6代目クリストフさん(画像下・左)と母リタさんに会いました1852年より、ワイン街道南部に位置するブルヴァイラーでワイン造りに取り組んでいます。

newsweekjp_20240829071755.jpg18ヘクタールのブドウ畑の大部分には、リースリングを中心とした白ブドウ品種を植えており、ピノ・ブランやピノ・グリといった古典品種や、シルヴァーナーやミュラー・トゥルガウといった典型的な品種も栽培しているそうです。

様々なワインに加えて、スパークリングワインも生産。これらは伝統的な瓶内発酵法で製造され、少なくとも9ヶ月間、酵母とともに貯蔵するそうです。

自然保護地区クライネ・カルミットでピクニック

最終日の夕食は、標高約270メートルの自然保護地区クライネ・カルミットでブドウ畑を眺めながらピクニックを楽しみました。

クライネ・カルミットは、プファルツの森の自然公園の東、ワインと休暇のリゾート地として知られるイルべスハイムの近くに位置する低山です。名前の由来は、ラテン語で「裸の山」を意味するそうです。3000万年前、ライン砂盆の地盤沈下の際に貝殻石灰岩の堆積物として形成されたとか。

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この自然保護地区に広がるブドウ畑のパノラマビューは、息をのむ美しさ。歴史あるブドウ畑「カルミットヴィンゲルト」からの眺めは、2020年、プファルツ州で最も美しいワイン・ビューに選ばれたのも納得です。ここで、ケータリング料理と共に4つのワイナリーのワインを試飲しました。

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クランツワイナリー

ランダウ近郊のイルベスハイムで、クランツワイナリーを経営するのは、4代目ボリス・クランツさん(画像下・左ボリスさん、右は息子さん)。

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早くからワインメーカーになりたいと考えていたボリスさんがワイナリーの責任を引き継いだ時は、まだ20歳にもなっていませんでした。先見の明にたけていた彼は、クライネ・カルミットの南西側に位置するヴィンゲルトの地形がまだ険しく耕作するにはあまりにも非現実だと考えられていた頃、すでにカルミットの南斜面の可能性を見極めていたとか。

クランツワイナリーは2012年以来、VDPのメンバーです。ブドウ畑は100%有機栽培、彼の勤勉さと職人技、そして理想主義によって、常にプファルツのワイン生産者のトップに君臨しています。彼のデリケートでピュアなリースリング、ジューシーなピノ・ブラン、張りのあるミネラリーなピノ・ノワールは、南プファルツでもトップクラスの折り紙付き。彼のワインの独自性の鍵は、その原産地、つまりテロワールがワインのスタイルを決定しています。

同ワイナリーは25ヘクタールのブドウ畑を所有し、リースリング、ピノ・ノワール、ピノ・ブランをそれぞれ25%、シャルドネを10%、その他の品種を15%栽培しており、スパークリングワインも生産しています。

試飲した中で印象に残っているのは、キルヒベルクで栽培されたブドウで醸造されたリースリングワイン2021GGでした。

エックワイナリー

エックワイナリーはイルベスハイムの中心部にあります。ブドウ畑とセラーでの情熱は、経験と同様に家族経営において重要な役割を果たしているそうです。醸造マイスターの父ユルゲン・エックさんは、主にブドウ畑を担当し、娘のジャスミンさん(画像上・左)は、ワイン開発、マーケッテイングを担当しています。

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ジャスミンさんはブドウ栽培と醸造学の学士号を取得して以来、新鮮な風を吹き込むだけでなく、2018/19年にはファルツの若手醸造家トップ20にも選ばれ、地域のホープとして期待されています。

基本ラインのリースリング、ミュラー・トゥガウ辛口、ポルトギーザーをはじめ、ノンアルコールワインも手がけています。

次はブドウ畑とワインに情熱を注ぐワイナリー・・・

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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