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人手不足の原因はブレグジットじゃない 地に足つかない若者たち
体力的にきつく危険な仕事を敬遠する若者が多い(ロンドン) HANNA MCKAY-REUTERS
<低賃金でつらい「3K」の仕事はもちろん小売業や接客も不人気。人手不足の要因には、大学や専門学校を出たあまりに多くの若者たちが仕事を選り好みしていることが挙げられる>
いまイギリスには、多くの問題がある。なかでも大きいのが、労働力不足と若者の高い失業率だ。この2つを組み合わせれば同時に解決するように思えるが(不足している労働力を、職に就いていない若者が埋めればいい)、物事はそれほどシンプルではない。若者が人手不足の分野の仕事をできないか、やりたがらないからだ。
労働力不足を声高に訴えているのは、ブレグジット(イギリスのEU離脱)に反対していた人々だ。「ほら、言った通りじゃないか! ブレグジットでEU域内の移動の自由がなくなって移民が減ったために、労働力が不足している」と彼らは言う。
この主張は的外れだ。多くの人がEU離脱を望んだのは、貧しい国から流入する安価な労働力を中心に築かれた経済に嫌気が差したためでもある。「移民より国民に職業訓練を行い、適切な報酬を払え」というのが離脱派の訴えだった。
これはうまくいっていないようだし、今後もうまくいきそうにない。
理由の1つは、イギリス人がある種の仕事をやりたがらないこと。例えば、低賃金でつらい果物の収穫作業がそうだ。
だが、「3K(危険、汚い、きつい)」とは言えない小売業や接客などの仕事も嫌われている。これらの仕事は英経済の約14%を占めているが、こうした分野に就職しようという若者は全体の3%にすぎない(反対に人文・芸術分野で働きたい若者は圧倒的に多い)。大学を卒業したのにそんな仕事には就きたくないという「期待のギャップ」がある。
若者の怠慢を責めるのは簡単だ(いつの世でも年長者は「昔は大変だった」という話をしたがる)。しかし問題は、あまりに多くの若者が大学や専門学校に送り込まれてきたことにもある。大学を卒業しても、大卒者向けの仕事が少ない。彼らの努力の対価として残されるのは、学生時代のいくばくかの思い出と学資ローンだけだ。
働く気がない若者たちがこんなに
労働市場の逼迫を招いたのは、イギリスの並外れて低い失業率(3.7%)だろう。「経済大国」のドイツ(5.6%)より低く、フランス(7.3%)やイタリア(7.8%)の約半分だ。
ブレグジット以前はEU域内の移動の自由があったため、雇用主はヨーロッパ南部や東部から流入してくる労働力を当てにできた。しかしイギリス人労働者にとっては、移民が大量に流入すれば職にありつく競争が激しくなり、そうなると賃金が下がり、さらには住宅が不足するため家賃の上昇につながった。富裕層よりも労働者階級がブレグジットを支持したのは当然だった。
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