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アクティヴィストを自称する「インスタグラムの王」
両手を上げても殺される同胞の黒人たちに対して、その現象的になったジェスチャーを示して連帯の意を表すアメリカ南部の綿花畑の労働者 From Ruddy Roye @ruddyroye
<無名だったが、インスタグラムの登場と2012年の災害取材で一気に名声を獲得した写真家ルディ・ローイ。「写真家もフォトジャーナリストも活動家だ」という彼を紹介するのは、これまでは気が引けていた>
今年最後に紹介するのは、ジャマイカで生まれ育ち、ニューヨークを第2の故郷とするルディ・ローイ、47歳だ。2人の息子をもつ父親でもある。インスタグラムが登場するまでほぼ無名だった。それが2012年にアメリカ東海岸を強襲したハリケーン・サンディの取材以来、アメリカのさまざまな社会問題を伝えて一気に名声を獲得した写真家だ。
「インスタグラムの王」とさえ言われている。作品はアートギャラリー、フォトフェスティバル、美術館でも紹介されている。アメリカの大手メディアや大学などで、数え切れないほどの講演も行っている。だが、当初からローイのことを気にかけていたにもかかわらず、私は紹介するのに気がひけていた。
大きな理由が2つある。1つは写真そのものについて。ストレートな写真、わかりやすい最大公約数を狙った通信社・新聞社的な写真が多く、平凡に見えてしまうことが多いからだ。
もう1つは、写真のスタイルや取材対象、アプローチが、確実にフォトドキュメンタリー/フォトジャーナリズムの範疇に入るにもかかわらず――少なくとも写真家が行う手法と同様なのに――ローイは、インスタグラムで自らをHummanist/Activist と称しているからだ。彼を写真家として語る上で何か矛盾を感じたのである。
とはいえ、私自身が写真を、アートを、時代の進展の何かを、あるいは自分が抱いていたアートの概念さえも見落とし、忘れてしまっていたのかもしれない。何と言っても、自分の信念や哲学を純粋に表現するものは、すべてアートなのだ。アクティヴィズム(政治的・社会的な活動)はもちろん、政治そのものさえアートになる。
ローイはこう言う。「ジャーナリズムやフォトドキュメンタリーをアクティヴィズムと切り離すことはできない。本質的に写真家もフォトジャーナリストも活動家だ。取材し、ドキュメントすることは、誰かの物語を支持することにつながる」
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