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トランプ政権誕生でワシントンへ「全てはこのための準備に過ぎなかったとさえ思う」
From David Butow @davidbutow
<紛争や災害などを取材してきたベテラン・フォトジャーナリスト、デービッド・ブットウ。「好奇心がある限り、新しいものを見つけられる」と、サンフランシスコから拠点を移した>
今回取り上げる写真家は、ニューヨークで生まれ育ち、サンフランシスコを拠点に世界各地のさまざまな出来事――紛争、自然災害、文化――を取材してきたベテランのフォトジャーナリストだ。デービッド・ブットウ、55歳である。近年は、トランプ政権の誕生とともにワシントンDCに拠点を移している。
彼が持つヴィジュアル的に大きな特徴は2つある。1つは、被写体への距離感覚だ。もちろん写真における視覚上のものだが、可能な限り肉眼で見たものと同じような距離感を保っている。時に、メインの被写体に寄り過ぎて押し付けがましさが強く出てしまうような状況下でも、そのギリギリの一歩手前で、巧みに、あるいは本能的に、立ち位置を決めてシャッターを切っている(例えば、下の香港の写真)。
もう1つは、構図と光を巧みに利用した美しさである。その中で、どちらかといえば被写体の静的な決定的瞬間――ストールン・モーメントとも呼ばれる――を映し出しているのだ。
この2つの視覚的要素が、ブットウの大きな才能と言っていいだろう。実際、ワールド・プレス・フォト(世界報道写真コンテスト)など世界的な賞を受賞しているが(その代表作は、2004年のスマトラ島沖地震・インド洋大津波の際にインドネシアで撮った写真)、この距離感と美的感覚は、彼の作品のほぼ全てに共通する主要な要素だった。
とはいえ、そうした視覚性の妙だけでは、単なる優等生的な写真家で終わっていたかもしれない。そうはならず、多くの才能ある写真家の中からブットウを際立たせているのは、彼の写真哲学だ。
ブットウの写真哲学は、フォトジャーナリズムの基本的精神と重なり合いながらも、よりパーソナルだ。被写体自身が何かを語るような写真を撮ることを心掛け、そこから主観的な真実を探ろうとしている。
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