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僕のイギリスの母校はなぜ教育格差を覆せたのか
僕は規律を腹立たしく思ったが(ムチだけでアメはなし)、何百人とティーンエージャーの男子生徒が一緒に過ごすなかで、彼らを教育するにはまずはとにかく行儀良くさせるのが大きな第一歩だということを、渋々ながら認めざるを得ない。少なくともそうすれば、マック先生が教科書を読み上げるのを静かに聞くことくらいはできる。
安定した家庭のもたらす影響
でも、僕は今、当時は「当たり前」過ぎて気付かなかった他の要因がうまく作用していたのではと考えている。僕たちは皆そろいもそろって、安定した家庭出身だったのだ。僕の学年の男子生徒122人のうち、シングルマザー家庭の生徒は1人だけ(まだ幼かった頃に父親は家を出て行ったらしい)。両親が離婚した生徒も1人いたが、母親は再婚し、新しい父親と一緒に暮らしていた。在学中に両親が離婚した生徒は、3人いた。そんなわけで、生徒全員が嫡出子として生まれ、ほとんどの生徒が成長過程で父親と一緒にいたことになる。
これは、出生時の25%前後が非嫡出子だった1980年代前半の当時としては、例外的なことだった。僕の同級生の両親たちが約2%の離婚率だったとすれば、当時の世間の離婚率はそれよりはるかに高かった。現在のイギリスでは、非嫡出子が出生児の50%近くを占めている(日本では3%以下だ)。ロンドンなどの大都市では、結婚していない、一緒に住んでいない親の元に生まれる子供がほとんど標準になりつつある。
僕の母校はある意味で実質、安定した家庭の生徒だけを選抜していた。カトリックの学校で、原則、教会に通ったり、婚姻によって子を儲けたり、離婚を避けたり、といった信仰に従う家庭の子供だけを受け入れていた。
両親がそろっていることで、努力家で成功する子が育つことが保証される、と言いたいわけではない。父親か母親のいない子が皆、失敗すると言っているわけでもない。ただ、2人の親が与えてくれる安定やしつけや支えが、子供時代の健やかな成長や子供の能力を伸ばす助けとなることはよく知られている。
その対極にあるのが、父親のいない子や、母親のパートナーの男性がコロコロ変わる子、異母きょうだいや異父きょうだいと母親と共に生活保護を受けてギリギリの生活をする子などだ。こうした家庭の子供たちだって成功できる可能性はあるが、自己鍛錬やたぐいまれなる才能やおそらく良いメンターに恵まれるという幸運などが必要になり、苦しい闘いになるだろう。
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