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ホンダ英国工場撤退で大騒ぎの不思議
おかしいことだが、僕がイギリス人の製造業偏重の姿勢に気づいたのは、日本に住んでいたからだ。日本で僕は、農業に対する似たような偏重の姿勢に驚いた。僕はよく聞かされたものだ。農家は感謝されて当たり前の存在だ、農家は輸入関税によって保護される必要がある、農家がやっていけなくなったら悲劇になる、彼らは大変な重労働をしてくれている......。言うなれば東京のサラリーマンが毎日2時間かけて通勤し、10時間も働いているのに、なぜ農家だけが優遇措置を受けるべきなのか、僕にはさっぱり分からなかった(ついでに言えば東京のサラリーマンは、農家がこんなにも保護されているために農産物に必要以上のカネを払っている)。
そして今、いつになく雇用が好調なこの国で新しい仕事を探さなきゃいけないことを、2年以上も猶予を持って知らされたスウィンドンの3500人の労働者たちが、こんなにも国民の同情を集めていることが、僕にはさっぱり分からない。
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