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ブレグジットで激変する海上輸送、ウェールズ港没落はイギリス解体の予兆なのか?
英ウェールズのホリーヘッド港と、ダブリン発のフェリー。ブレグジットで大打撃を被る Phil Noble-REUTERS
<これまでイギリスを陸路で経由していたアイルランド、北アイルランドからの物資は、海上輸送によって直接フランスや欧州大陸へと運ばれるようになった>
ブレグジットから約3ヶ月が過ぎた。
ワクチンをめぐり欧州連合(EU)と英国のいさかいが深刻になっているが、その他にも大きな変化がいくつか起きている。
一番の目立つ変化は、海上輸送である。
アイルランドと、北アイルランド(英国領)からの物資が、海上輸送で、直接フランスや欧州大陸に着くようになったのだ。
今までは、多くの貨物が、アイルランドから海を渡って英国に入り、陸路でウェールズとイングランドを南下してから、フランスに渡る――という道をたどってきた。
最も主要なルートは、ダブリン(アイルランド)から、対岸のホリーヘッド(英国ウェールズ)へ、海をフェリーで渡る。英国国内の高速道路を走り、ドーバー(英国)に到着。ここからカレ(フランス)へ、フェリーやユーロトンネルを使うやり方だ。
地図を見ていただければわかるとおり、この方法では海を航行する距離が、大変短くてすむ。いわば、ブリテン島を陸橋(ランドブリッジ)のように利用するのである(瀬戸内海を連想させる)。
このほうが、アイルランドの港から直接フランスの港に船で行くより、時間とコストがやや少なくて済むからだった。
ところが、英国がEUを離脱してしまったため、英仏の間で、大変煩雑な手続きが必要になってしまった。ビジネス界は敏感で、企業はこの新たな面倒とリスクにソッポを向いてしまったのだ。
彼らが選んだのは、直接船でアイルランドからフランスへ輸送する道だった。これなら、今までどおり、EU単一市場内の移動で済む。
今、アイルランドやフランスの港は、新たに活況を呈している。反対に没落しはじめたのが、ウェールズの港である。このことは、「連合王国」の維持に影響を与えるかもしれない。
明暗を分けるアイルランドと英国
それでは、どのくらいの増減が生じたのだろうか。
2月22日までの1週間で、アイルランドから英国に向かう貨物量は、Stena Line社では、前年同期比で約半分に減少してしまった。その分、フランスに直接向かう貨物量は、約2倍に増えた。
同社は、既存のロスレール(アイルランド)からシェルブール(フランス)へのルートに加えて、首都ダブリンからシェルブールへの新ルートを開始した。昨年の6便に比べ今や週14便で、アイルランドと欧州大陸を結んでいる。
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