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なぜドイツで極右AfDが躍進しているのか──5つの理由と、東側ブロック崩壊35年で「反動の時代」
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AfD共同党首のアリス・ワイデル(2024年1月、ベルリン) Juergen Nowak-Shutterstock
<10年前は支持率一桁だった政党が欧州の脅威に。その要因に迫る>
2月23日にドイツの連邦議会選挙が行われる。
選挙キャンペーンが本格化してからこの1カ月、連邦議会では激震続きであった。台風の目は、常に極右と言われる「ドイツのための選択肢(AfD)」党である。AfDの台頭は、ドイツにとってだけではなく、欧州にとって大きな不安要素である。
世論調査によると、AfDの支持率は約20%で、2位の座を保ち続けている。1位は中道右派のCDU/CSU(キリスト教民主同盟・社会同盟)で、約30%だ。3位はショルツ首相の所属する中道左派の社会民主党で約16%。4位は同盟90/緑の党で13%前後である。
2015年9月以前は有権者の2~6%の支持にすぎなかったのに、なぜこれほどまでに支持率を高めたのだろうか。ミュンヘンに本社を置く南ドイツ新聞は、5つの理由を分析している。
まず最初に「恐怖」である。
筆頭は移民問題だ。2015年9月、メルケル政権はハンガリーに足止めされていた難民・移民に、ドイツへの入国を許可した。彼らはドイツ国内になだれこみ、その後数カ月で89万人が難民申請を行ったのだ。
AfDはこの移民政策を厳しく批判して、怒りの代弁者としての地位を確立することに成功した。このことを同紙は「恐怖」と表現した。
次に、「政治的な正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」問題である。
アリス・ワイデル共同党首は、「政治的な正しさは歴史の屑溜めに属するものです」とケルンでの党大会で発言した。
AfDはジェンダーに配慮した言葉遣いを嘲笑。伝統的な家族を擁護し、同性婚を批判する。さらに、ドイツ人が再び国への誇りを公然と表明できるようにすることを要求する。
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