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アメリカの貧困を浮き彫りにする「地理学」プロジェクト
"The Geography of Poverty"の作品は、白黒写真のオーソドックスなスタイルで力強さとシンプルさを前面に押し出している。大半の写真は、ディテールよりも構図を重視したものだ。それは、正方形の写真フォーマットともよくマッチし、より重厚な感覚を与えながら、アメリカに潜む貧困問題の深さを浮き彫りにする。
ブラック自身は否定したが、非常にコンセプチュアルな作品でもある。切り口のアイディア、練り上げられたプラン、またはキャプションの的を射たシンプル性――そうしたものがまさしくコンセプチュアルだ。それがなければ、広大なアメリカを貧困という枠組みで切り取った大プロジェクトは成功しなかったかもしれない。
【参考記事】Picture Power「崩壊した街」に残る住民のリアル
まず、アメリカを横断・縦断する"The Geography of Poverty"で選ばれた町は、隣町との距離が200~300マイル以内に収まるようになっている。それは彼自身が言っているように、取材対象は、決してアウトライアー(=特別なはみ出しもの)ではない、という信念のためだ。さらにそれを証明し、強調するため、多くの作品には、町、あるいは地域の人口と貧困率が記されている。政府のセンサスのアプリケーションを使って導き出したもので、またその取材場所は貧困率が20%を超える場所が選ばれている。こうしたものが、ヴィジュアルの力強いシンプルさと重なって、強烈なプロジェクトとして、見るものをさらに刺激するのである。
"The Geography of Poverty"は、幾つかの章を終えたが、まだ継続中だ。「写真は人にメッセージを与える。取材場所、取材対象には責任感がつきまとう」というブラック。自分の育った場所への責任感として始まったこのプロジェクトは、さらなる深みへと発展していくかもしれない。
今回ご紹介したInstagramフォトグラファー:
Matt Black @mattblack_blackmatt
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