アジアの中銀に金融緩和余地、米関税対応で=IMF高官

4月24日、国際通貨基金(IMF)のクリシュナ・スリニバーサン・アジア太平洋局長(写真)は、多くのアジア諸国では米国の関税による経済への打撃を和らげるため、金融緩和の余地があるとの認識を示した。同日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Elizabeth Frantz)
Leika Kihara
[ワシントン 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のクリシュナ・スリニバーサン・アジア太平洋局長は24日、多くのアジア諸国では米国の関税による経済への打撃を和らげるため、金融緩和の余地があるとの認識を示した。
IMFはアジアの経済成長予測を大幅に下方修正。2025年を3.9%前後、26年は4.0%前後と予想している。24年は4.6%だった。
スリニバーサン氏は記者会見で、1月以降、貿易政策の不確実性が大幅に高まっており、アジアの短期的な経済見通しが一段と悪化したと指摘。アジア諸国は米関税措置の発表に伴う経済の不確実性に対処する上で大きなトレードオフに直面しているが、物価圧力が低いため金利を操作する一定の余地があるとの認識を示した。
同氏は「インフレ率がおおむね目標水準かそれを下回っている地域では、外的ショックを和らげるため、多くの国で金融政策を緩和する余地がある」と述べた。
アジア諸国の多くは貿易依存度が高く、国際的なサプライチェーンで重要な存在であるため、貿易政策上のショックに特に脆弱だと指摘。
「米国市場へのエクスポージャーが多い上に、世界の政策を巡る不透明感が非常に高いため、この地域は脆弱になっている」とし「リスクは下向きに傾いている」と述べた。
また、アジアは関税による貿易への打撃に加え、不確実性の高まりが市場のボラティリティーを招き、金融環境の引き締まりにつながるリスクにも直面していると指摘。
「アジアにとって今後、これが大きな下振れリスクになる可能性がある」とし、「われわれは(成長)予測を下方修正したが、この地域における下振れリスクは依然としてかなり大きい」と述べた。
中国や米国など大規模な市場で需要が鈍化する中、域内貿易が打撃を和らげる可能性があるとの見方も示した。さらに、中国を含むアジア各国は消費と投資を促し、国内需要を下支えする必要があるとした。
為替レートの柔軟性がショックに対する重要な緩衝材になるが、金融市場のボラティリティーが高まった場合には為替介入が実施される可能性があるとの見方を示した。