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コリン・ジョイス Edge of Europe
パーティーゲートで英保守党の安泰も終わった
ジョンソン英首相のパーティーゲートで保守党が国中の反感を買ってくれたおかげで、野党・労働党の「いまいちパッとしないが無害」なキア・スターマー党首は次の選挙で俄然有利に Hannah McKay-REUTERS
<ボリス・ジョンソン英首相はたかがパーティーしていた程度かもしれないが、次の選挙では安定の保守党を自滅させるほどの影響があるだろう>
ボリス・ジョンソン英首相には少なくとも1紙、味方してくれる有力新聞がある。デイリー・メールは1面で、イギリスはジョンソンの「パーティーゲート」をめぐり国としてバランス感覚を失っているのではないか、と報じた。
これはおそらく、唯一のジョンソン擁護だ。1つの見方で見れば、今のこの状況は確かにおかしい。イラク戦争に突き進んだあのトニー・ブレアを首相に再選させた僕たちが、誕生日にパーティーをしてケーキを平らげたからという理由でジョンソンを許さないなんて、後の世代になんとも説明しづらいだろう。
でも他の見方をすれば、国民にロックダウンの規制に従えと散々呼び掛け、状況の深刻さを説いていたジョンソンが、いったいどうして一般人とは異なる行動を取れると思ったのか、甚だ疑問だ。自分たちはルールを超越する存在だ、もしくは(あるいはそれに加えて)自分たちはバレない、とでも考えていなければ、とてもできないだろう。いずれにしろ、その考え方は判断ミスと言うよりは根本的な人格的欠陥と見られているから、イギリスの人々が彼を慕うことはないだろう。
無害な労働党党首にチャンス到来
英保守党は時に、「当然の統治政党」と呼ばれる。特段の問題があるときや、国民がリセットを望んでいるような時期(第2次大戦後の福祉国家建設の必要性が高まったときなど)でもないかぎり、保守党が選挙で勝利する傾向にあるからだ。不戦勝とでも言える形で保守党が勝利した選挙も何度かある(1987年、1992年、2015年)。人々は保守党を熱烈支持しているわけではなかったが、より安全な選択肢として保守党にこだわった。イギリスの選挙制度はだいたい40%ほどの票を得れば勝つことができる仕組みで、これまでの保守党もだいたいそのくらいが「平均的な」得票率だった。
保守党議員たちは、ジョンソンがこのバランスを崩すのではないかと懸念している。もしもジョンソンが次回2024年の総選挙まで首相の座に居座った場合、保守党の過半数議席を脅かしてジョンソンを退陣させたいと考える有権者が相当いるだろう。
通常なら、野党は国民の関心を引く政策を作り上げて訴えなければならないだろうが、時には政権与党が自滅してくれたために野党はただ政権担当能力をアピールして有害ではないことを示せばいいだけ、ということもある。その点においては、労働党の今の党首は適任だろう。キア・スターマー党首はいまいちパッとしないが大衆の怒りを買うことはない人物だ。
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