コラム

【人生を変えた55冊】思い込みの人物像を覆すインタビューの醍醐味

2020年08月21日(金)16時00分

■予想を裏切る読書家のラガーマン

【特集:人生を変えた55冊】『嫌われる勇気』に『Winning Edge』エディー・ジョーンズが戦い方を学んだ良書

僕がラグビー(観戦)に夢中になったきっかけは、2015年のラグビーワールドカップでの日本代表チームの活躍だっただけに、エディー・ジョーンズにインタビューするのはワクワクした。でも、僕にとっては初めての「ズーム」インタビューだったので、少し緊張もした。そのうえ、彼は時折、ジャーナリストにつんけんすることがあると評判だ。ところが彼は、寛大で助けになってくれ、僕に対しては完全に魅力的だった(たぶん、僕が2019年ワールドカップ決勝での敗因を質問しなかったからだろう)。

人生の全てがスポーツを中心に回ってきたような人物が、こんなにも読書家であることを目の当たりにするのは興味深かった。もしかしたら語りたい本があまりないのでは、本を選んでもあまり話すことがないのでは、と僕は心配していた。ところが彼は、熱心に次から次へとさまざまな本について話し、僕たちはその中のどの本を取り上げようかと厳選しなければならなかった。さらに、彼は読んだ本について明らかな考えを持っていて、真にその本に「没頭して」いた。

ここで冒頭の、僕がジャーナリズムを志した理由に戻ろう。ある人物が本当はどんな人なのか、本当は何を考えているのか明らかにするために人々にインタビューをするわけだが、それはしょっちゅう、思い込んでいたイメージとは大きく異なるものだ。

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2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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