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ヴィズマーラ恵子|イタリア

イタリア新首相、ユーロを救いイタリア経済の再建を任されたマリオ・ドラギってどんな人?

画像iStock- Gennaro Leonardi イタリア、ローマ-2020年3月24日:イタリア政府の本拠地である閣僚評議会議長官邸キージ宮殿(Palazzo Chigi)、コロナウイルス緊急事態時にイタリア国旗の色で照らされた建物のファサード。


マリオ・ドラギ首相は2月13日12:00 、大統領府で就任宣誓を行った。

ドラギ首相は、
集団予防接種計画から回復計画の準備、仕事についてのテーマから企業テーマまで、そしてレイオフを阻止する法令の満了が来た時に試される「結束社会」についてなど政府プログラムの本質的な部分をまとめ、簡潔に説明ポイントを述べられるようスピーチの準備を始めた。

「侮辱やブーイングを避けるために、私は50ページも書きません。私はいくつかの批判があるだろうとは思いますが」

と微笑みながら述べたそうだ。

「団結は今や選択肢ではなく義務である」
キージ宮殿でイタリア新首相が最初のスピーチで最も強調したのが挙国一致であった。

わずか30分ではあったが、マリオ・ドラギ首相が閣僚評議会の最初の会議を開催した。
欧州中央銀行の取締役会や単一通貨と連合が危機に瀕していた時代も管理することは容易ではなかったマリオ・ドラギ首相。

国の信頼を回復することが、彼が主宰する内閣の目標であり、「イタリアを確保する」「イタリアの未来を見据える」そして、「環境保護主義者とデジタル代」のビジョンを掲げた。

| イタリア首相、ユーロを救いイタリア経済の再建を任されたスーパー・マリオことマリオ・ドラギはどんな人?

1947年9月3日ローマに生まれた。現在73歳
15歳で両親をなくした、マリオと妹弟の3人は叔母に育てられた。マリオは妹弟の面倒もよくみた。イエズス会の教育を受けた。
マリオ・ドラギを一言で表す言葉といば「勇気」である。
それは父親との幼少期の思い出のひとつにまつわるもので、 マリオ・ドラギが大事にしている言葉が「勇気」だと言う。
2つの戦争の間で、ドイツで父親と一緒に見た騎士の像と記念碑の碑文を見た。
そこに

『金を失うのは小さく、名誉を失うのは大きい。 しかし、勇気を失う ことは全てを失う』 〜ウィンストン・チャーチル〜 (第61代・第63代 イギリス首相)

と書かれていたのが、とても印象に残っていて、お金を失ってしまったとしてもそれは些細なことであって、全てを失ってしまったわけではない、名誉を失っても機会があれば名誉も挽回することができる、それには勇気が必要だ。その勇気を失った時が全てを失ったということであるという父から受けた説明がとてもマリオ少年の心にずっと残っているという。

父親のカルロの職業は、イタリア中央銀行の銀行員だった。NLで活動を続けていたが、1963年に死去した。
両親の喪失後、マリオはローマの高校へ通い、ローマ・ラ・サピエンツァ大学に進学、マッシミリアーノ・マッシモに師事し、その教えを活学しイエズス会とノーベル賞受賞者との研究に励んだ。卒業したのち、
1970年イタリアで最も著名な経済学者の一人であるフェデリコ・カフェを卒業した。1976年にマサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。
彼にはどんな局面や人生の節目には「勇気」が必要だったと言う。
1980年代を通じてワシントンD.C.の世界銀行に勤務し、エクゼクティブ・ディレクターを勤めた後、1991年にローマに戻りイタリア財務長官に就任した。
10年後にゴールドマン・サックスに入社。
2005年から2011年までイタリア銀行総裁を歴任した。
2011年から2019年まで欧州中央銀行(ECB)総裁、2009年から2011年まで金融安定理事会の初代議長、
ECB総裁を務めていた2010年代に起きた欧州債務危機への対処で、単一通貨ユーロの存続に向け「必要なことは何でもする」«Whatever it takes», «faremo qualsiasi cosa perché l'euro resista» と発言したことで欧州中に知られるようになった。

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筆者撮影:現在出回っているユーロ紙幣の表には当時欧州中央銀行総裁だったマリオ・ドラギ のサインが印刷されいる

イタリア共和国大統領マッタレッラに首相指名を受けた。
緊急事態で危機に陥った国民の健康、社会、経済、何も変わっておらずそのまま。
ヨーロッパはワクチンに焦点を合わせてきが、かなり遅れて到着した。それでも順調なスタートを切った予防接種計画ではあったが、製薬会社は協定を尊重しておらず、今や衰退している。
様々な問題が明るみとなり、この遅れを取り戻しワクチン接種計画をスピードアップして進めていくには、前例のない後方支援が必要となっている。
次に、以前の回復基金は過半数を失い、全く足りていない。その不十分さを証明する必要もある。

新政府の"緊張ポイント"はその他でも垣間見られる。

最初は学校。
学校の再開についてはいくつかの不注意点(心配な点)が排除されれば十分ではあるが、6月末に学年度を延長するという仮説が浮上している。
それに基づくと労働組合の反応を引き起こすであろう。
パンデミックは教育制度と若者の社会性をも直撃した。そのしわ寄せがこれからのイタリアを支えていく世代に多大な負担となる。
それはイタリアにとって重要な課題であり問題である。

二つ目は移民政策。
感染者数の減少による法令規制の緩和は、冬の終わりとともに再び移民が大量にイタリアへ押し寄せるであろう。
移民の最大の玄関口となっているイタリア。
移民問題への争点化は大きな緊張ポイントである。


| マリオ・ドラギ首相の政治家や専門家で構成される内閣人事

イタリア政治体制内閣(主要閣僚)

議会関係担当相 フェデリコ・ディンカ(Federico D'Incà)
技術イノベーション・デジタル化担当相 ヴィットーリオ・コラオ(Vittorio Colao)
行政担当相 レナート・ブルネッタ(Renato Brunetta)
地方自治担当相 マリアステッラ・ジェルミーニ(Mariastella Gelmini)
南部・国土統合担当相 マリア ロザーリア・カルファーニャ(Maria Rosaria Carfagna)
青少年政策担当相 ファビアーナ・ダドーネ(Fabiana Dadone)
機会均等・家庭担当相 エレーナ・ボネッティ(Elena Bonetti)
障害政策担当相 エリカ・ステファーニ(Erika Stefani)
観光相 マッシモ・ガラヴァリア(Massimo Garavaglia)

外務・国際協力相 ルイージ・ディマイオ (Luigi Di Maio )
内相 ルチアーナ・ラモルゲーゼ(Luciana Lamorgese)
法相 マルタ・カルタービア(Marta Cartabia)
国防相 ロレンツォ・グエリーニ(Lorenzo Guerini)
経済・財務相 ダニエーレ・フランコ(Daniele Franco)
経済開発相 ジャンカルロ・ジョルジェッティ(Giancarlo Giorgetti)
農業・食料・森林政策相 ステーファノ・パトゥアネッリ(Stefano Patuanelli)
環境・国土・海洋保全相 ロベルト・チンゴラーニ(Roberto Cingolani)
インフラ・交通相 エンリコ・ジョヴァンニーニ(Enrico Giovannini)
労働・社会政策相 アンドレア・オルランド(Andrea Orlando)
教育相 パトリツィオ・ビアンキ(Patrizio Bianchi)
大学・研究相 マリアクリスティーナ・メッサ(Maria Cristina Messa)
文化財・文化活動・観光相 ダリオ・フランチェスキーニ(Dario Franceschini)
保健相 ロベルトス・ペランツァ(Roberto Speranza)

大臣23人(男性15人、女性8人)で構成された。
閣僚内の8人の女性大臣について、一人ずつ紹介していきたい。皆、有能な大臣であって適材適所だと思う。


 

Profile

著者プロフィール
ヴィズマーラ恵子

イタリア・ミラノ郊外在住。イタリア抹茶ストアと日本茶舗を経営・代表取締役社長。和⇄伊語逐次通訳・翻訳・コーディネータガイド。福岡県出身。中学校美術科教師を経て2000年に渡伊。フィレンツェ留学後ミラノに移住。イタリアの最新ニュースを斜め読みし、在住邦人の目線で現地から生の声を綴る。
Twitter:@vismoglie

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