ドイツの街角から
旅行業界回復は2023年以降に ドイツ観光局CEOヘードルファー氏の予測とは
引き出しや本棚の整理は終わった。有り余る衣類や生活用品の断捨離もした。コロナ禍の巣ごもりで、家のなかはかなりすっきりしたが、心置きなく移動や旅行できるは何時になるのだろうか。そんな思いを巡らしている人もきっと多いはず。
新型コロナにより建設業を除き全ての産業・サービス業が大打撃を受けた2020年。コロナ終息の先行きが読めないなか、ドイツ観光局CEOペトラ・ヘ―ドルファー氏は、「厳しい状況は続くものの、アフターコロナは早期リカバリーに期待する」と将来を見据える。
冷え込んでしまった旅行業界の回復に注力する ヘ―ドルファー氏を今年のキーパーソンとして紹介したい。
回復プロセスは2023年まで続く
ドイツは欧州人にとって文化探訪と都市観光の目的地として首位の座を保ってきた。遠方からドイツを目指す観光客も2019年まで順調な成長を遂げた。日本人観光客は、年間約60万人にも上った。
だがコロナ禍によるロックダウンや国境閉鎖で訪独者数は大幅に減少した。2020年は大きなイベントや文化活動が中止となり、ビールの祭典「オクトーバーフェスト」や冬の風物詩クリスマスマーケットも開催できなかった。宿泊者数を例にあげると2020年11月は、前年同月比で72%減だった。(ドイツ連邦統計局)
そんななかドイツ観光局の発表によれば、ヘ―ドルファー氏は、「旅行業界がもとに戻るのは、2023年以降だろう」と予測する。
「ワクチンの導入が順調に進んだとしても、観光の流れが正常化するまでにはかなりの時間を要します。航空会社やホテルのキャパシティーも段階的にしか増やせませんし。
回復期間は少なくとも2023年末まで続くということです。ヨーロッパ域内からの訪独観光客は域外に比べると回復は早いでしょう。またバカンス旅行の方が、ビジネストリップより回復が早いようです」
一方、同氏は「業界はさらに厳しい状況が続くものの、コロナ終息をきっかけに好転する」と楽観的だ。
楽観的でいられる理由
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko