ドイツの街角から
旅行業界回復は2023年以降に ドイツ観光局CEOヘードルファー氏の予測とは
回復プロセスは長期に渡り、厳しい条件下という一方、ヘ―ドルファー氏は楽観的でいられる理由をこう語る。
「人々は旅に出て、外国を探索したり、文化を体感したり、出会いや交流を求めているからです。また、ドイツは旅先として安全な国というフィールドスタディの結果があります。さらに旅の目的地としてドイツは2020年に、国家ブランド指数(MBI)で第一位に選出されました」
ちなみにこの調査は2020年7月から8月に行われた結果だという。つまりコロナ感染の真っただ中で行われた評価だ。
コロナ禍により変わる顧客のニーズ
アフターコロナを迎えた時点で、人々は以前の様に旅に出るのだろうか。
「顧客の行動パターンは、コロナとは関係なく継続的に変化していくものです。しかし、コロナ禍が変化のプロセスを加速しているのは確かです。
新型コロナは、例えば持続可能性への関心に新たな勢いを与えました。訪独観光を支える主要市場国からの観光客のほぼ80%が、コロナ禍によって持続可能性のある観光がより重要になると考えています」
「最近発表されたばかりの国連のSDGs(持続可能な開発目標)到達度合いを国別に比較したSDGグローバル指標で、ドイツは166カ国中 5位にランクインしています。アンホルト国家ブランド指数(NBI)の調査対象国は、気候変動危機への取り組みにおいて、今後5年間で最も効果的な対応を示している国としてドイツを一番に指名しています。
ヨーロッパ旅行委員会の最新の調査によると、アフターコロナで 最初に旅に出るのは、シティーライフ派であることが分かりました。ドイツのシティーライフは、歴史的建造物や博物館見学だけにとどまりません」(ヘ―ドルファー氏)
全てがかつての様には戻らない
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko