England Swings!
サッカー女子EUROで初優勝、イングランド女子代表がくれた喜びと未来
7月の1か月間、サッカーの欧州女子選手権2022(EURO2022)がイングランドで開催された。パンデミックの影響で昨年の予定が今年に延期されたもので、ヨーロッパの16チームが参加した。
わがイングランドのライオネシス(Lionesses、「雌ライオンたち」の意味で、イングランド女子代表の愛称)は初戦から順調に勝ち進んだ。それにつれて女性と子どもたちを中心にファンが急増した。イングランドは徐々に興奮に巻き込まれていき、その熱気はサッカー初心者のわたしにも伝わってきた。
大会最終日の7月31日、決勝戦に進出したライオネシスは、8度の優勝経験があるドイツを2対1で破って優勝に輝いた。イングランド女子が主要国際大会で優勝したのは初めてのことだ。
イングランドは男子もEUROで優勝したことがなく、昨年の男子大会では決勝で延長の末、PK戦でイタリアに敗れるという悔しさを味わった。その記憶も新しいだけに、今回の女子の快挙にサッカーファンは狂喜して、イングランドは各地でにぎやかなお祝いムードに突入した。
優勝が決まった直後のウェンブリー・スタジアムも大騒ぎだった。選手もファンも大喜びで飛んだり跳ねたり、歌ったり涙を流したり。その後の記者会見でも翌日の祝賀会でも、ライオネシスの選手たちは無邪気にはじけまくっていた。プロの選手も多いのに、アマチュアどころか、まるで学生のパーティーのようなノリで、かえって新鮮だった。純粋に嬉しすぎて興奮していたのか、若い女性たちだからなのか、男子選手のようにマスコミ慣れしていないからなのか。とにかく初々しさがほほえましくて、ますます応援したくなってしまった。イングランド女子、本当におめでとう!
Chloe Kelly just ditching the mic in her BBC interview to sing Sweet Caroline is my highlight of the year #WEuro2022Final pic.twitter.com/kQ2G39zJ4y
-- Alex Milsom (@alexmilsom) July 31, 2022
と、話はここで終わらない。若きライオネシスは、初優勝以上の大きな喜びをわたしたちにもたらしてくれたからだ。
ひとつは、サッカーを愛する少女たちに夢と希望を与えてくれたことだ。全国の少女たちは、男子も経験していないEURO初優勝を成し遂げた女子チームの姿を自分の目でしっかりと見た。そしてライオネシスをたのもしいロールモデルとして、自分もこうなれるかもしれないと明るい希望を持った。
著者プロフィール
- ラッシャー貴子
ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。
ブログ:ロンドン 2人暮らし
Twitter:@lonlonsmile