イスラエル・モロッコ国交、トランプが差し出した「ご褒美」のリスク
TRUMP HANDS VICTORY TO MOROCCO
トランプ政権は、イスラエルの首都をエルサレムと正式に認めたときも、イスラエルにゴラン高原の領有権を認めたときも、「現状を追認したにすぎない」と説明してきた。だがこの論理によれば、力ずくの実効支配が、国際法や正当性に基づく領有権を覆す理由になりかねない。
バイデン次期米大統領は、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化を支持するとしつつ、そのためにアラブ諸国に法外な「ご褒美」を与えることには慎重な姿勢を示している。モロッコは今回の合意のずっと前から、政治的にも経済的にもイスラエルと緊密な関係を築いてきた。それだけに国交正常化合意は、まさに現実を追認したにすぎない。それよりも、西サハラの領有権についてモロッコの要求を一貫してはねつけてきた国際社会のコンセンサスを崩したことは、モロッコにとっては何より大きな外交的勝利となった。
©2020 The Slate Group
<2020年12月22日号掲載>
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