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蟹江憲史教授が国連から任命されて書いた、SDGs「2030年まであと7年」の現実と希望

蟹江憲史

Photo:遠藤 宏

――SDGsのさまざまな目標と言えば、特に日経新聞なんかを読んでいるとそうだが、実際の動きもメディアの報道も、最近は「SDGs=気候変動と脱炭素」というようなイメージがある。関心がそこに集中してしまうことの弊害のようなものはあるのだろうか。

(温暖化を抑える世界共通の目標を掲げた)パリ協定がCOP21で採択されたのが2015年12月で、SDGsが国連で採択されたのがその直前、同じ年の9月だった。だからSDGsの気候変動の箇所を見ると、要するに、パリ協定と連動するような書き方がされている。

つまり、(気候変動とSDGsは)双子の関係と言ってもいいので、気候変動を通じてSDGsを考えることそのものは良いことだと思う。ただ、仰るように、気候変動問題だけが突出していて、お金もそこに流れていることは確か。

SDGsはすべての目標がつながっているので、いかに気候変動と他の目標をつなげていけるかが目標達成のカギになるのではないか。予算を取るにしても、気候変動と絡めて貧困の話をするとか、気候変動と循環型社会の構築を関連づけるとか。そういう動きが求められているのかもしれない。

※後編に続く:日本はSDGs浸透度「世界一」、この武器をどう使うかが次の課題だ――蟹江憲史教授


蟹江憲史(かにえ・のりちか)
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表

内閣府自治体SDGs推進評価・調査検討会委員、JALサステナビリティアドバイザー、日本政府SDGs推進円卓会議構成員などを務め、国内外でSDGsや環境問題を中心に多方面で活躍中。国連事務総長の任命を受けた独立科学者15人の1人として、Global Sustainable Development Report 2023 (GSDR 2023)の執筆を行った。専門は国際関係論、サステナビリティ学、地球システム・ガバナンス。SDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図っている。主な著書に『SDGs(持続可能な開発目標)』(中央公論新社、2020)など。

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