米政府、移民やビザ申請者のSNS投稿検閲 「反ユダヤ主義」巡り

米政府は9日、移民とビザ(査証)申請者のソーシャルメディア投稿に「反ユダヤ主義」の内容が含まれていないか検閲を開始すると発表した。写真は米国の市民権を新たに取得した移民。ニューヨークで2018年7月撮影(2025年 ロイター/Shannon Stapleton)
[ワシントン 9日 ロイター] - 米政府は9日、移民とビザ(査証)申請者のソーシャルメディア投稿に「反ユダヤ主義」の内容が含まれていないか検閲を開始すると発表した。これに対して人権擁護派からは即座に非難の声が上がった。
トランプ政権は、米同盟国イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡る抗議を弾圧しようと試みてきた。
米移民帰化局(USCIS)は声明で「ソーシャルメディア上での外国人による反ユダヤ主義的活動や、ユダヤ人個人に対する物理的な嫌がらせ」について、移民の申請を却下する根拠として考慮すると宣言。合法的な永住権を申請している人々のほか、外国人学生、反ユダヤ主義的活動と結びついた教育機関に所属する人々に、直ちに影響すると付言した。
「米国には外国のテロリスト・シンパの居場所はない」とした。
トランプ政権は一部の外国人学生の国外追放を試み、複数のビザを取り消し、親パレスチナの抗議活動を巡って大学への助成金をカットすると警告している。
人権擁護団体や人権専門家は政権の姿勢を非難。9日の発表については、言論の自由を脅かすものであり、移民に対する監視や差別に近いと訴えた。
言論の自由を唱える団体「個人の権利と表現財団 (FIRE)」 は、トランプ政権は「ビザや米国永住権(グリーンカード)の保持者を監視し、自由であるはずの表現そのものを理由に、彼ら彼女らを標的にすることで、自由で開かれた議論を守るという米国の約束を明け渡し、代わりに恐怖と沈黙をもたらしている」と批判した。