副店長は「AIのクラゲ」...IT企業が開いた「町の小さな書店」が話題に その「納得の理由」とは
──AIをスモールビジネスに取り入れることのメリットやインパクトは何でしょうか。
AIを使うことで、やりたいことに時間を割くイメージでしょうか。たとえば、お客様とのコミュニケーションにもっと時間がとりたいなら、購買のところはテクノロジーで解決する。本をじっくり見て発注したいなら、接客はAIにしてもらうとか。
AIによって全てを効率化して仕事をなくそうとするのではなく、自分が苦手な部分はAIにまかせて、得意なことややりたいことは自分がやる。スモールビジネスはひとりやふたりで回さないといけないので、そこにはテクノロジーの介在余地があるんじゃないかと思います。AIの活用によって、スモールビジネスのハードルが下がる可能性もありますよね。
──世の中ではAIに対する危機感が高まっていますが、ポジティブな感触をもっているのですね。
スモールビジネスこそテクノロジーの恩恵を受けるべきというのは、freeeの思想としてあるので、敵対視はまったくしていないですね。むしろ素敵なパートナーだと思っています。
スモールビジネスに関わる人の出会いの場に
──情報があふれる今の時代において、あらためて本の魅力とは何でしょうか。
活字離れと言われますが、みなさんテキストは読んでますよね。文字を読む楽しさは知ってると思うんです。
今、ネットでは自分にカスタマイズされた情報しか入ってこないですよね。そのなかで、別の人がつくった世界観の場所に飛び込むことで、「こんな世界があるんだ」とか「こんな考え方をもってる人がいるんだ」といった気づきがあると思います。それが一覧性をもってばーっと見られるのは、本屋だからできる魅力だと思っています。
──在庫は何冊ありますか。また、どのような基準で選書されているのでしょうか。
初期在庫は3000冊です。選書のジャンルやキーワードは我々で考えて、下北沢の本屋B&Bさんにもアドバイスをいただきました。実用書なんかは、freeeの社員からも募りました。
置いている本のジャンルは、ざっくり4種類。「透明」や「自由」といった、透明書店らしさを表す棚が1つ。2つ目はスモールビジネスの参考になるものとして、「経営」「働き方」などのスモールビジネスの実用書。あとは、世の中にありスモールビジネスを業種別で紹介するコーナー。最後は、本をつくる営みとしてのスモールビジネスである、小規模出版社さんや個人出版のリトルプレスやZINEですね。
なので、大きなくくりで言うと「スモールビジネス」。店自体のコンセプトでいうと、スモールビジネスに関わる人がちょっとした刺激をもらえるような、オープンで透明な本屋さんを目指しています。