米議会下院、トランプ減税延長の予算決議案を可決

4月10日、米議会下院は、トランプ大統領が1期目の2017年に導入した減税の延長などを盛り込んだ予算決議案を賛成216票、反対214票で可決した。写真は、連邦議会議事堂。2024年11月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)
[ワシントン 10日 ロイター] - 米議会下院は10日、トランプ大統領が1期目の2017年に導入した減税の延長などを盛り込んだ予算決議案を賛成216票、反対214票で可決した。野党民主党が反対したほか、与党共和党のタカ派議員からも歳出削減が不十分だとの批判が出て2人が反対票を投じた。
予算案では今後10年間に計約5兆ドルの減税と、約5兆7000億ドルの連邦政府債務の増加を見込んでいる。また、共和党はこの予算決議案を通じて連邦政府の債務上限を引き上げる計画だ。
トランプ氏は共和党所属の下院議員に賛成票を投じるように促し、可決後にはソーシャルメディア(SNS)で今回の可決について「わが国の歴史で最も偉大で、最も重要な署名の一つの舞台が整うことになる」と宣言した。
一方、今月5日に上院を通過した予算決議案は最低40億ドルの支出削減を求めている。共和党所属の上院議員団は40億ドルというのは最低限の金額で、今後数カ月間にさらに大きな歳出削減を可決することを妨げるものではないと説明している。
共和党内での意見対立の背景には、トランプ氏が導入を進めている輸入品への関税強化で金融市場が混乱していることがある。一部のエコノミストは貿易戦争が激化して米国が景気後退に陥ると予測しており、景気後退で歳入が減るとの見方が予算決議案の審議を難航させた。
財務省が10日に発表した3月の関税収入は87億5000万ドルと2022年9月以来、2年半ぶりの高水準となった。前年同月より約20億ドル増え、財務省関係者はトランプ氏による関税引き上げが押し上げ要因になったと述べた。
ただ、3月の関税収入は、減税延長による押し下げ分をカバーするのに必要な金額に遠く及ばないことを示唆している。