まずは「相手を統制する」という考えを手放そう...「やる気に満ちたチーム」の実現法
たった一人から、「影響の輪」は広がる
──なるほど、ひとりから変える!ですね。では、やる気に満ちた自走する組織をつくるために、私たち個人はどのようなアクションをとるとよいでしょうか。
最初の一歩は、主体性を取り戻すこと。変わるのは自分自身の内面から。この発想を「インサイド・アウト」と呼びます。環境のせいにするのではなく、自分自身をよりよく変えることで、環境にいい影響を与える姿勢を持つことです。そのためには「自己認識力」が大切になってきます。
そして、自分の影響が届くところから小さくはじめる。自分が関心のある範囲を「関心の輪」、そのなかでも影響力を及ぼせる範囲を「影響の輪」と表現します。組織を変えていくには、限られたエネルギーを「影響の輪」に集中させ、そのなかで「成功循環モデル」をまわしていく。
成功循環モデルとは、組織が持続的に高い成果を生みだすためのシステム的なアプローチですが、起点はあくまで「関係性の質」です。「関係性の質」→「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」と循環させて、自分たちのチームで成果が生まれれば、周囲から注目される。結果的に、自身の影響の輪が広がっていきます。
関係性におけるポイントは、相手を統制しようという考えを手放すことです。関係性は相互作用なので、自分が好意を持てば相手も持つし、自分が開示すれば相手も開示します。リーダー自ら強がりの仮面を外して、オープンになること。メンバー「一人一人の幸せ」は何かを真剣に考え、どうすれば組織の活動に結びつくかを深く考え、実行することです。
空気が読めて自己主張もできる「大人のホールネス」への道
──本書に「リーダーは強がりの仮面をはずせ」とありましたが、自分のすべてをさらけ出すのは、ハードルが高い気がします。
自分のすべての人格や人間性をさらけ出す「ホールネス(全体性)」は、人生をかけたテーマといってもよく、難しいものです。赤ちゃんはホールネスですが、他者のことはまったく考えていませんね。かわいいから許されるんです(笑)。社会の中で、段階を踏んで成熟し、「大人のホールネス」に近づいていくことです。