まずは「相手を統制する」という考えを手放そう...「やる気に満ちたチーム」の実現法
第1段階は、無邪気で空気を読まない「子どものホールネス」です。赤ちゃんのように周囲を全く気にしない状態をイメージするといいでしょう。
第2段階は、空気を読めるようになるものの、場に合わせて本音をいえない「つながり志向」。いい人の仮面をかぶっている状態といえます。
第3段階は自己主導で場を統制していこうとする「コントロール志向」。いわば強がりの仮面をかぶった状態です。
第4段階は、多様性を尊重し、自己と他者を整合しようとする「個性志向」です。空気を読み、相手の立場を尊重しながら、自己の意見を伝えられる状態です。ここでは、コミュニケーションの技術がとても大切になります。
そして最後にたどり着くのが、自己の価値と他者の期待をきれいに調和できる、迷いのない自然体、いわば「大人のホールネス」です。生涯をかけて、人間が成長していく過程ともいえるでしょう。
会社存続の危機に瀕して、偉人の言葉に救いを求めた
──斉藤さんが読んできた本のなかで、経営や組織運営において支えになった本を教えていただけますか。
最初の起業で、会社存続の危機に陥ったときに読んで救われた『7つの習慣』です。
当時は帰宅するのが深夜で、外界から遮断された屋根裏の部屋で『菜根譚』『老子』『貞観政要』『人を動かす』『般若心経』『夜と霧』『徳川家康』など、名著といわれている本を読みふけりました。当時は、学ぶというより、長く続いた資金難の苦しみから逃れたい一心でした。偉人の言葉に、救いを求めていたんです。
私は書籍を人生の師として生きてきたので、おすすめしたい本は山ほどありますが、もっともオーソドックスな名著として『7つの習慣』をピックアップしたいと思います。著者スティーブン・コヴィーからは、先ほどふれた「インサイド・アウト」や「関心の輪・影響の輪」などの考え方を学び、その後の人生に大きな影響を受けました。
リーダーへのおすすめでは、動機づけを体系化した自己決定理論を提唱するエドワード・デシの『人を伸ばす力』ですね。人間が本来もっている「自ら考え、学び、行動する意欲」をいかに活性化させるかを学べる一冊です。ミハイ・チクセントミハイの『フロー体験』、ピーター・センゲの『学習する組織』なども必読書といえます。