旭化成、27年度までの3年間で1兆円投資 ヘルスケアでM&Aなど

旭化成は10日、2028年3月期までの3年間で1兆円の投資を見込んでいると発表した。写真は2019年10月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Nobuhiro Kubo Ritsuko Shimizu
[東京 10日 ロイター] - 旭化成は10日、2028年3月期までの3年間で1兆円の投資を見込んでいると発表した。前中期経営計画の3年間とほぼ同額で、うち事業の拡大投資に約6700億円を充てる。
ヘルスケア分野で合併・買収(M&A)などを進め、住宅分野は国内外で成長機会を探る。素材分野は水素や電子材料など投資を厳選する。
28年3月期の営業利益は2700億円を目指し、25年3月期見込みの2000億円から35%伸ばす。自己資本利益率(ROE)は6.0%から9.0%へ引き上げる。
新中計では、28年3月期に営業利益2700億円を目指すとしたが、工藤幸四郎社長は会見で、本来は3000億円前後を計画していたことを明らかにした。
グループで米国の売上高は約2割あり、95%以上は買収した米国企業が販売しているという。その企業は海外から部材を輸入しており、25%程度の追加関税で計算すると170―180億円の影響が出るため、その影響を織り込んだ。ただ、今後の世界経済の「リセッションの問題は読み切れない」ため、織り込むことはできていないという。
工藤社長は、経済のリセッションや危機的な状況を乗り越えてきたのは、自由貿易とグローバル展開という基盤があったからだと指摘。米国の関税施策は「真っ向から逆の方向に持っていくもの。前提が大きく変わってしまうため大変問題だ。このままでは世界は立ち行かなくなる」と懸念を示した。
同社としては「同じような商品を作っている企業がアライアンスを組んだり、スワップすることで、関税障壁を乗り越えることができないか、検討すべきことはある」と述べた。ただ、具体的な領域や商品などへの言及は避けた。