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放火事件を起こし火刑に処された少女「お七」と、死者への供養というテーマ
From Michiko Chiyoda @michiko_chiyoda
<海外で高く評価され始めた埼玉在住の千代田路子。大切な人の死を経験し、「弔うとは何か」をテーマに作品を発表している>
写真には2つの大きな特性がある。1つはファインダーという窓を通して自身の外側にある世界を可能な限り客観的に見つめること。もう1つは、同じファインダーを通しながら、あるいはそれを鏡としながら、その世界に自分自身やそのメタファーを投影することだ。
とはいえ、これら2つの写真属性の境界はしばしばあいまいだ。また、後者においても、その醍醐味の1つは、それがパーソナルな(個人的な)ものでありながらも、人間社会の普遍的な何かに発展することだ。
今回紹介する写真家は、本能的に、またある種運命的にそうしたものを追い求めてる女性である。東京生まれ、埼玉在住の千代田路子だ。常に心と体、あるいは自らの精神世界と身体に興味があり、外的世界と内面世界をオーバーラップさせながら作品を作りたい、という。
ビジュアル的にはシンプルで、どこか日本画や禅にも通じるところがある彼女の作品スタイルは、近年海外で高く評価され始めている。作品に影響を与えた1人は、江戸時代の琳派の酒井抱一だか、彼と同じく、その道ではやや風変わりかもしれない。
プロの写真家ではない。美大を卒業し、写真のゼミを取っているが専攻はデザインだ。卒業後、広告代理店でデザイナーとして働き、その後、日本の光学メーカーの宣伝部に転職している。小さい頃に父親からカメラをプレゼントされ、光学メーカーでは仕事柄、日常的に多くの素晴らしい写真作品に接してきたという。
本格的に写真作品を作り出したのは2000年頃からだ。彼女のキャリアを考えれば、決して早くはない。現在も光学メーカーで顧問として勤務している。だが、遅れてきた写真との本格的な関わりが、彼女の才能を見事に開花させたのかもしれない。
なぜなら、千代田の作品の主題はパーソナルなものであり、両親の老い、その死に深く絡んでいるからだ。もちろん、家族に絡む悲しみは誰もが経験する――ベテランの写真家だけでなく、若い写真家も含めて。だがベテランの写真家は、そうした主題を作品にしたとしても、初期の頃のような情熱を忘れがちだったり、必要以上に気負いがちだったりする。若い場合は、さまざまな意味で経験が足りないことが多い。
その点、ビジュアル的には既に優れたキャリアと才能を持ちながらも、本格的に写真作りを行っていなかった千代田は、家族のことが引き金になり、一層写真にのめり込み、かえって才能を開花させることができたのである。
知識欲がすごい。積極的に学ぶことは生きる上で大切なことだという。それを人生のさまざまな出会いの中でさらに昇華させようとする。興味を持った対象に対し、それが今の自分にとってどういう意味があるのか、どういう繋がりがあって巡り会い、興味を持ったのかを探求していきたい、と話す。それは、彼女のある種コンセプチュアルな作品作りにも繋がっていく。
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