アングル:米国で子どもの自閉症診断数が過去最高水準、原因や政府の対応は

4月17日、米国では自閉症の診断数が2000年以降大幅に増加しており、懸念が高まっている。米疾病対策センター(CDC)は15日、子どもの診断数が22年に過去最高となったことを示す統計を発表した。写真はケネディ厚生長官。16日、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Elizabeth Frantz)
Nancy Lapid
[17日 ロイター] - 米国では自閉症の診断数が2000年以降大幅に増加しており、懸念が高まっている。米疾病対策センター(CDC)は15日、子どもの診断数が22年に過去最高となったことを示す統計を発表した。
自閉症は、脳内の信号伝達における何らかの異常を特徴とする神経学的および発達的障害で、行動、コミュニケーション、人との関わり方、学び方において、一般とは異なる特徴がみられる。
<自閉症の診断方法>
自閉症の医学的病名である「自閉症スペクトラム障害」(ASD)の診断には、血液検査や脳のスキャンのような客観的評価手法は存在しない。そのため、観察と面接に基づいて診断が行われる。
「スペクトラム(連続体)」という用語は、症状の現れ方が非常に多様であることを示している。たとえば、会話能力に優れている人もいれば、言葉を使わない人もいる。音、触覚などの刺激に極度に敏感な人もいる。同じ行動や興味を繰り返す傾向がある人もいる。日常生活で支援が必要な人もいれば、ほとんど、あるいは全く助けを必要としない人もいる。
米小児科学会(AAP)は、大半の子どもで症状が現れ始める1歳半と2歳の時点で、全員にスクリーニングを受けることを推奨している。ただ現在、評価年齢の平均は米国で4歳前後、世界全体では5歳前後だ。
<子どもの発症率>
CDCによると米国の8歳児における自閉症の割合は、2022年に31人に1人(3.2%)となり、20年の2.77%、18年の2.27%、00年の0.66%から上昇した。英国での研究では、児童の自閉症の割合は21年に1.76%と、09年の1.57%から上昇した。
世界保健機関(WHO)は、世界全体でみた子どもの発症率は1%と推定し、2012年時点の0.62%から上昇したとみている。ただ、症例を特定して報告するためのリソースが不足している国は多いという。
<原因は何か>
自閉症の原因は不明だ。科学者の間では、子宮内で胎児の脳が形成される過程で現れる可能性があるとの見方が多い。研究では自閉症が、妊娠中の母親の要因と関連していることが示されており、一部では出産時の合併症やタイミングとの関連が示唆されている。
研究によると、自閉症発症リスクの約80%は遺伝的要因によるものだとみられ、現在、遺伝子と環境要因の相互作用を探る「エピジェネティクス」(後天的遺伝学)という分野が注目されている。ある理論では、妊娠前または妊娠中に妊婦が大気汚染や有害物質にさらされることで遺伝子変異が引き起こされ、生まれた子どもの自閉症につながる可能性があると考えられている。
自閉症の人の一部には遺伝子変異がみられ、この症状と遺伝的要素に関連があることを裏付けている。自閉症のリスク増加と関連する遺伝性疾患には、指定難病である脆弱X症候群、結節性硬化症複合体、フェラン・マクダーミッド症候群、プラダー・ウィリ症候群などがある。
そのほかの潜在的なリスク要因としては低出生体重、新生児の黄疸、子宮内または出産時の合併症、腸内フローラの不均衡、免疫系の障害、きょうだいの自閉症発症、親の年齢、肥満、糖尿病などの要因が挙げられる。
ケネディ米厚生長官をはじめとする著名人は、科学的証拠のないまま、小児期のワクチン接種が自閉症の原因だという説を唱えてきた。この説は、1990年代後半に英国の研究者アンドリュー・ウェイクフィールドが行った、自閉症診断数の増加と麻疹ワクチンの広範な使用に関連があるとした研究に端を発している。この説は後に誤りであることが確認された。
自閉症の発症について、ワクチンや医薬品、ワクチンに含まれる有機化合物のチメロサールやホルムアルデヒドなどと因果関係があるとの厳密な研究は行われていない。自閉症の発症率が上昇する一方、ワクチン接種率は低下している。
<自閉症の診断数はなぜ増加しているのか>
研究者らは自閉症のスクリーニングの普及と、自閉症とされる行動の幅が広がったことが主な理由だと考えている。
かつては、自閉症の定義に中等度から重度の知的障害が含まれるのが一般的だった。だが現在では、自閉症の中でもそうした重いタイプは全体の約25%にすぎないことを医師らは認識している。
精神衛生の専門家は2013年、それまで別々に診断されていた「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」を、「自閉症スペクトラム障害」という1つのグループにまとめた。
24年10月の米国における保険請求データを用いた研究では、自閉症の診断が最も増えたのは、過去にスクリーニングを受ける機会が少なかった層であることが分かった。具体的にはヤングアダルト(若年成人)、女性、一部の人種・民族的マイノリティーの子どもらだ。
研究者らは早産や高齢出産など、特定のリスク要因がより一般的になっている点も指摘している。
CDCによると、「重度の自閉症」の診断率は軽度の診断率ほど劇的には上昇していない。
ケネディ米厚生長官は16日の記者会見で、自閉症の症例増加の背景に環境要因があると科学的根拠を示さず指摘し、その要因を特定するためカビから薬まであらゆるものを調べる方針だと述べた。
<治療法>
自閉症には治療法や完治させる方法はない。ただ、早期の診断が非常に重要である点で専門家の意見は一致している。認知能力、社会性、コミュニケーション能力を向上させるには、理想的には3歳までに支援的介入を行うことが不可欠だという。
こうした対策には言語療法、作業療法、社会的スキル訓練、感覚統合療法、視覚補助ツール、決まった流れのある生活習慣、個別の教育プラン、家族療法、穏やかで予測可能な環境の提供などが含まれる。
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