コラム

歴史を軽視した革命思想から解き放たれ、初体験は55の夏

2016年07月20日(水)16時23分

 何よりも衝撃的だったのが、そうした罪悪感を覚えているのはどうやら私だけだったという点だ。毛沢東の死と文化大革命の終結からおよそ40年の時間が過ぎた。中国は大きく変化し、人々は豊かになった。それでも人々の心は本当の意味では文化大革命時代から変わっていない。

【参考記事】辛口風刺画・中国的本音:中国が文革の悪夢を葬り去れない理由

 私だって中国に残っていれば同じだっただろう。日本にわたり、多くを経験し、民主主義のすばらしさを知った。ニューズウィークのコラムニストとしてさまざまなことを学び、政治家を志した。そうした経験がなければ関帝廟で罪悪感を覚えることもなければ、選挙での投票に深い感動に打ち震えることもなかったのだろう。

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

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