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サウジ記者殺害事件と海南航空不審死をつなぐ「点と線」
サウジアラビアによる記者惨殺事件に対して世界各地で抗議の声が挙がった(ワシントン) Leah Millis-REUTERS
<サウジアラビアで起きた記者惨殺事件と、中国・海南航空会長の不審死には共通点がある。そしてこの2つの独裁国家にインパクトを与えうる男がいる>
こんにちは、新宿案内人の李小牧です。
世界を騒がせているサウジアラビアの記者惨殺事件と、フランスで起きた海南航空会長の不審死はまったく関係のない2つの別の事件と考えられているが、実は知られざる「接点」がある。
サウジのジャマル・カショギ記者は10月、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で絞殺され、その後遺体をバラバラにされたが、彼の殺害に関わった15人のサウジ人の1人である空軍の軍人が事件後、サウジの首都リヤドで「不審な交通事故」を遂げた。「口封じされた可能性がある」と、トルコの当局者は語っている。
海南航空グループの王健会長は今年7月、出張中の南仏プロバンス地方の教会で、写真を撮るために高さ15メートルもの壁によじ登ろうとして転落した。ただし、事故死という公式発表を信じる人など一人もいない。事情通ならだれもが暗殺と考えている。
中国出身の国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)総裁である孟宏偉は10月、インターポール本部所在地のフランスから帰国中に「失踪」した。中国当局は孟が収賄で取り調べを受けていると明らかにしたが、この説明に納得している事情通もまた一人もいない。
サウジアラビアと中国に共通する「冷酷さ」
海南航空の秘密を昨年7月に暴露したのは、アメリカに事実上の亡命をしている中国人大富豪の郭文貴だ。海南航空のバックにいるのは習近平の右腕・王岐山であり、同社が「白手套」(白手袋、違法マネーをロンダリングする仲介者の意味)として王岐山の資金源になっていたと明かした。
【参考記事】中国大手32社が「不審死&経営難」海南航空と同じ運命をたどる!?
中国公安省副省長を14年間も務めた孟も、王岐山と深い関係がある人物だった。孟が勤務するインターポールの所在地のリヨンと、王健が不審死したプロバンス地方の街ボニユーは約200キロしか離れていない。孟はおそらく王健の不審死の秘密を詳しく知っている。だからこそ中国に呼び戻され、そして突然「失踪」させられたのだ。
サウジアラビアと中国には、どちらも独裁国家で金持ちだが世界ではあまり好かれていない。カショギ記者はもともとサウジの王家に出入りする政権の内部関係者だった。危険になった以前の手下を別の手下に「処分」させ、秘密を知ったその別の手下も「処分」する――今回サウジと中国が関係した2つの事件には、独裁国家独特の冷酷さが共通している。
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