コラム

根拠なきデマと誹謗中傷に新宿案内人がすべてお答えする

2018年09月19日(水)17時10分

bombuscreative-iStock.

<前回の「炎上した」コラムは、まだ終わっていなかった。私を中国の工作員と決めつけて批判する人たちがいるが、批判はいずれも、先入観や差別意識、意図的な誤解に基づくものだ>

こんにちは、新宿案内人の李小牧です。

先日のコラム「6歳の中国人の日本への難民申請を手伝ったら、炎上した」はたくさんの人に読んでもらった。亡命先のアメリカで、反中国政府のユーチューブ番組を司会している路徳の子供と義母の日本での難民申請を手伝ったらネットで炎上した、という話だったが、この話には続きがある。ネットでの炎上がまだ続いているのだ。

おそらく日本に住んでいる私と同じ元・中国人で現・日本人とみられる匿名のネットユーザーたちが、私の微博やツイッターの中国語の書き込みを日本語に訳して批判し続けている。その内容にあおられた日本人ネットユーザーが、私を中国の工作員だと決めつけて怒っている。

これからその批判に一つ一つ反論する。はじめに言っておくが、どの批判も言葉の切り取りや先入観、差別意識、意図的な誤解に基づくものだ。私は1988年に来日してから、ヤクザやホスト、キャバ嬢の街、歌舞伎町を文字通り生き抜いてきた。この街で暮らしてきたのだから、彼らと無縁だったというつもりはもちろんない。

しかし私自身は法律に違反して日本で逮捕や起訴されたことは一度もない(逆に警察の捜査に協力したことは何回もあるが!)。3年前に新宿区議会議員選挙に立候補したのも、ホストやキャバ嬢など歌舞伎町でまじめに生きる人たちの権利や社会的な地位を少しでも向上したい、と考えたからだ。

「飲食店従業員の地位向上~~ネオン街でまじめに働く人たちの暮らしを助けます」は、3年前の新宿区議選で私が掲げた公約の1つ。しかし、私を批判する人たちはネオン街で働く人々を自分たちより格下の、差別されるべき人間だと考えているようだ。

lee180918-1.png

歌舞伎町をよく知らない彼らのために説明しよう。歌舞伎町のストリップ劇場では、500円を払えばステージの上でだれでも踊り子と写真が撮れる。踊り子が客と「自撮り」をするのは、自分と劇場と歌舞伎町の宣伝のため。そもそもストリップ劇場は完全に合法。「こんな風俗嬢とのイチャイチャ写真を投稿してる」というが、ストリップ嬢やキャバ嬢と写真を撮ることのどこに問題があるのか。「風俗嬢」とひとくくりにして非合法な存在であるかのように言うのは、彼女たちに対する差別だ。

刺青の男性と私が一緒に写った写真が拡散されているが、「ヤクザとの親密な関係」もでたらめだ。刺青の男性は確かにヤクザだが、私が彼と会ったのは日本のヤクザ専門誌の取材に同行したからだ。中国のサブカルメディアから「ヤクザを取材したい」という要望があったので、日本のヤクザ専門誌を紹介した。その編集長とこのヤクザの男性が知り合いだった。6年ほど前の話だ。

別の刺青姿の右翼男性と映った写真も批判されているが、これもナショナルジオグラフィックの取材に同行した時のもの。この右翼男性は日本メディアにも登場している有名人。私は作家として取材しただけで、彼らと普段付き合いはない。そもそも私が彼らと一緒に非合法なことをしていれば、警察が今まで見過ごすはずがない。

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story