コラム

「一強」スコットランド首相が失意の電撃辞任した理由

2023年02月20日(月)16時05分

そんなわけで明らかな後継者はおらず、それが理由でSNPは弱体化するかもしれない。SNP支持者の有権者たちでさえ、彼女の後継に誰を支持すればいいか明確な考えを持たず、誰が後継に就くにせよその人物は自分の名前を売り込むところから、ほぼゼロからのスタートになるだろう。

この状況は、スコットランドの労働党(彼らはイギリス残留を望んでいる)にとって古くからの支持を取り戻す好機になる。それゆえタイムズ紙の1面では、スタージョン辞任は「英国統一主義に最大級の追い風」と報じられた。

だが結局、スコットランドのナショナリズムは、特にスコットランドの若者を中心に確固たる支持を築いており、1人の政治家がうまくやろうとやるまいと、消えてなくなりはしないのだ。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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