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ソ連を脱したバルト諸国の発展を見よ
こうした歴史物語には、多少の自己欺瞞があるかもしれない。バルト諸国の人々が共産党に参加し、ソ連時代はソ連政府とソ連の安全保障機構に仕えたのは確かだが、それでも支配力はモスクワにあったから、究極的には「ソ連による支配」と表現するのがフェアだろう。
西側諸国の感覚としては、バルト諸国をロシアから「防衛」してあげるために、われわれが2000年代に親切にもバルト諸国をNATOに「承認」してやった、という考え方が一般的だ。ロシアの衛星国から脱してその後に繁栄を謳歌する国をロシア政権が毛嫌いするのは(ウクライナの例を見ても)明らかだから、そうした西側諸国の言い分にも真実はある。
でも、今回の訪問で僕の見方は少し変わった。独立を守る必要性をほぼ理屈抜きに感じ、ロシア政府の脅威を明確に見据えている国々を仲間に迎えることで、西側同盟は明らかに強化される。たとえばイギリスのように、もっと幸運な歴史をたどってきた国に暮らす国民は、自分たちの自由を彼らほどに強く愛することは決してできないのだ。

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