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誰かが本当の勇敢さを見せるとき
信じられないような偶然だが、番組に出てきた殺人事件の1つを、僕は昨年このコラムで取り上げていた。僕の地元で起きたホームレスの殺人事件だ。あの事件をBBCの撮影チームがずっと追いかけていたとは僕も知らず、事件の詳細や事件の正確な流れが分かって、興味をそそそられた。
ストーリーはほぼ僕が理解していたとおりだったが、1つ新たにはっきりしたことがあった。警察は誰が犯人か分からず、地元のホームレス仲間は知っていたものの怖くて何も言えなかったが、ついに彼らの1人が口を開いた。「ジョン」なる人物が警察に、殺人事件の容疑者はロンドンのギャングの麻薬密売人だと証言し、その容姿を詳細に説明して、「垂れ込んだヤツ」は撃ち殺すと脅された、とも話した。この脅迫は完全に信用できる。ギャングたちが、警察に協力した人々を殺すのはあり得ることだからだ。
にもかかわらずジョンは、殺された男性が友人だったために、警察署に出向いて正式な証言をしてもいいと同意した。その夜、自分がいつもの場所(たまたま僕が通っているジムの裏通りだった)に戻って眠ることは承知の上で、それが恐ろしく無防備なことだとよく分かっていながら。ジョンは少し不安そうだったが、それでも証言すると心を決めた。
ほぼ確実に、僕は近所でジョンとすれ違ったことがあるはずだ。彼は文字どおり、僕の自宅から1キロと離れていないところで寝泊まりしていた。おそらく、このタトゥーを入れたアルコール依存症の彼を見かけていたら、僕は哀れに感じたり恥ずかしく思ったり、ひょっとすると軽蔑すら感じていたかもしれない。それでも彼は、命を落とした友人のために、他のみんなが口をつぐむなか、わが身を危険にさらして行動した男だったのだ。僕より勇敢な男じゃないか。
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