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コロナ後の新しい五輪モデルは「2024年パリが示す」と仏意欲 東京には何ができるか
オリンピック精神のユネスコ登録を
「オリンピック精神」は、かねてよりドゥリュ氏が強く主張するものだ。
昨年彼は、国際オリンピック委員会(IOC)の国際関係部門ディレクターのソフィ・ローラン氏とともに「オリンピック精神を、ユネスコの無形文化遺産に登録を」と、「パリ2024組織委員会」に提案した。
そして昨年10月、同委員会はマクロン大統領とIOCのバッハ会長に同案を提出、ギリシャ、ルクセンブルク、ヨルダンとセネガルの国々と共に協議されることになった。
ドゥリュ氏は「オリンピック精神とは共生、博愛(友愛)と尊敬です」と要約している。
そのように主張していた彼が、今回「一つの場所に、競技を定着させて開催させる」と言い出したのは、妥協したのだろうか。
ただ、以前から彼は「大会は二つの条件のもとに成功します。アスリートがちゃんと受け入れられること、そしてとりわけ予算が尊重されていることです。何よりも重要なのは、赤字を回避することです」と話していた。
新型コロナウイルス危機が起こる前から、費用の問題とオリンピック精神の問題は、ドゥリュ氏の主張のコアだったようだ。
にじみ出る危機感
ドゥリュ氏の論調には、危機感がにじみ出ている。今回France Infoに出したトリビューンの中で、「オリンピック精神の原則に忠実であれ」と訴えている。
彼は「五輪は有用である。ましてや危機の時代には」ということを、滔々と述べている。フランス人というのは、哲学的な演説調のセリフを好む傾向があるのだが、それだけではないと感じさせる、深刻な焦りが感じられる。
東京オリンピック延期の費用の負担もかさみ、これからコロナの影響で世界的な不況が訪れることが予想されるために、世界で「五輪不要論」が浮上すると考えているのではないか。これは彼だけではなく、五輪関係者に共通した不安なのかもしれない。
オリンピックには莫大な費用がかかる。
東京五輪については、昨年12月4日、会計検査院が、関連事業に対する国の支出が約1兆600億円に達しているとの集計結果を公表している。パリ五輪は約68億ユーロ(約8000億円)、その次のロサンゼルス五輪は約70億ドル(約7500億円)の予算と言われている。もはや金持ち国の贅沢イベントとなっている。
開催国内では「税金の無駄使い」という批判が絶えることがない。そこに来て、このコロナ危機である。「そのように費やすお金があるのなら、国民と仕事を救済しろ」「医療にお金をまわせ」という声が出るのは必至である。
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