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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツワイン業界の最新トレンド ヴィノテーク建築賞受賞ワイナリーを訪ねて・その1

2000年も続くワイン造りの伝統を誇るドイツ。だがワイン造りは近年、伝統に縛られない自由な発想で生産されるようになり、大きく進化した。

約30年サークルでワイナリー経営の世代は交代している。そして若手世代に受け継がれたワイナリーは、これまでとは全く違った形で存在感を示している。彼らは、一度故郷を離れ世界を旅した。あるいはまったく別の職業につき大都市での生活を謳歌し、新しい世界を見聞した。

いつの日か、故郷に戻った若者たちはワイン醸造のすばらしさに目覚め、家業を継ぐ決意をした。または、全く別の業界からワイン醸造に憧れて、後継者のいないワイナリーを受け継ぐ若者も増えた。

こうして国際感覚を持ち、親世代の経験の蓄積を土台にしながら、新しい道を模索するようになった。彼らはブドウ栽培やヴィノテークに新しい旋風を巻き起こした。時代に即したSNSを活用し、マーケッティングを実践し、若い世代の消費者の感性に訴えるモダンなボトル、一度目にしたら忘れられないユニークなデザインのエチケット、外観からはヴィノテークとは想像もつかない素晴らしい建築物が誕生した。

ドライブや散策中に偶然目にした建物は一体何?と興味を持ち、ちょっと寄ってみようと客を惹きつける近代的なスペースを提供し、ワインを手にする機会も増える。

今やヴィノテークは「単に試飲しながら会話する、またはブドウ畑を眺めながらワインを楽しむスペース」だけではない。意識を卓越し、潜在顧客を惹きつけるだけでなく、新規の客を魅せる営業ツールとなっている。ヴィノテークに莫大な投資をして、単にワイン試飲する場所というイメージを覆す建築ミックスの憩いの場となっている。

次回は、2021年に輸出が急増したモーゼルのワイナリーを紹介します。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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