ドイツの街角から
ドイツワイン業界の最新トレンド ヴィノテーク建築賞受賞ワイナリーを訪ねて・その1
モーゼル川とライン川の間に位置するナーエ地方は、ローマ人が入植し、ワインを栽培し始めた地域。 ローマ人はすでにこの地を利用してワインを栽培し、ワインを取引していた。
約4200ヘクタールの畑を持つナーエ地方の特徴は、比較的小さな面積に180種類もの土壌があることで、さまざまな品種のブドウが育ち、味のニュアンスも多彩になる。75%が白ワイン品種。リースリングやジルバーナーなどが多く栽培されている。
▽モダンで古風な「ワイナリークロスハイム」
ナーエ地方ランゲンロンスハイムは家族経営のワイン生産者が肩を寄せ合って生活しているワイン醸造家の村。アネッテ・クロスハイムさんは、一度故郷を離れたものの、父のワイナリーが自分を必要としていると気がつき、帰郷。家業を継ぐ決心をした。
伝統を守るだけでなく、自分らしいワインをつくりたいと思った。新しいブドウ品種を栽培し、ワインを醸造した。彼女がワイン造りを初めてすぐ、リースリング・ディスカバリー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。その後、高級ガストロノミーに注目されるようになり、独自のファンを持つようになった。
町の中心にある教会の真向かいに1867年築の歴史と風格のある空き家(旧ケルターハウス・ワイン圧搾ハウス)をモダンかつ古風なワイナリーに作り上げた。新しいヴィノテークの中心は、修復された旧館に隣接し、家族のワイナリーとつながるフラットキューブで2つの家の間に新しい建物、ヴィノテークが誕生した。
驚く程モダンな構造、風邪通りのよい高さ、目を見張るような軽さの格子が特色だ。部屋の構造を最大限に活用したことで広く開放的で イベントや試飲客のための最高の舞台となった。完成したのは2019年。
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著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko