ドイツの街角から
81歳のフィットネスジャンキーおばあちゃんがSNSで大ブレイク
「スポーツジムに通うようになったのは50代から。今の生活に感謝している」というエリカさんだが、それまでどんな人生を送ったのだろうか。
生まれ育った境遇は決して楽ではなかった。2歳の時、母を亡くした。4人の子供を抱える父子家庭となり、生活は苦しかった。
「本当に貧しかった。4人の子持ちの父に嫁ぐ女性はいなかった。養母もおらず、姉が私たちの世話をしてくれた」
夫ディーターさんとの間には2人の子供に恵まれた。子育て、そして実父の介護に追われる日々を過ごした。子供達の自立、さらに実父を亡くしてから、突然自分の時間ができたエリカさんは50代でスポーツジムへ通い始めた。アエロビクスやピラティス、筋トレなどに挑戦した。
エリカさんはロックダウン前、週に15時間ほどジムでトレーニングを重ねていた。朝食後、夫と一緒にジムへ出向く。夫は2時間後に帰宅、エリカさんはお昼までトレーニングに励む日々だった。ジムで若者たちと言葉を交わしながら、汗を流すのは本当に楽しいという。
動画で見る限り、健康そのもののエリカさんだが2003年、人口膝関節手術を受けた。そのためジョッキングや飛び跳ねることはできない。そんなこともあり、筋トレにのめりこんでいったようだ。
健康の秘訣は「禁煙、少量のアルコール、毎食料理を作る」。そして適度の運動だ。昨年3月中旬のロックダウンで体重が増えたというエリカさん。「でも自宅で定期的に筋トレをするようになって、パンデミック前の体重に戻ったわ」とほほ笑む。
「私はティックトッカーでもインフルエンサーでもなく、フィットネスジャンキー(スポーツに夢中)なのよ」と位置づけするエリカさんだ。
「子供の頃は、自分は太っていると思った。短い脚も嫌いだった。できればもっと若い時からトレーニングをすべきだった。動画撮影は週に3回ほどと決めている。筋トレは毎日でも楽しい。でも撮影を義務化すると負担になるからほどほどにしている」
▼自宅トレーニングで話題を集めたエリカさんの本音は?
著者プロフィール
- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko