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ラッシャー貴子|イギリス

クリスマスプレゼントには何を選ぶ?

クリスマスプレゼントはこの写真のように当日までツリーの下に置いておき、25日に一斉に開けるのが英国流だ。その日までにカードとプレゼントを交換するので、12月の街は食事会やクリスマスパーティーで大にぎわい。だからオミクロン騒動で自粛モードの今年はさみしい。仕方ないけれど。写真 iStock-VisualField

 クリスマスがやってくる。クリスマスといえばプレゼント。英国でも家族はもちろん、友人や職場の仲間ともちょっとしたプレゼントを贈りあう。この国に来たばかりの頃に、自己破産に追い込まれるほどクリスマスプレゼントを買ってしまう人が毎年いると聞いて驚いた。そんなに真剣に取り組まなくちゃいけないのかと思い込んでしまって、最初のうちはずいぶんはりきってプレゼントを選んでいた。でも15回のクリスマスを経験するうち、そんなにすごいものを贈らなくていいらしいとわかってきた。ほとんどの人はゆるくて、でも楽しそうなのだ。

 英国には外国人も多いし、クリスチャンでなければクリスマスは関係なさそうだけれど、習慣として学校も仕事も休みになるこの時期、特別なこだわりさえなければ、宗教に関係なく、カードを書いたりプレゼントをしたり、何かしらをしていると思う。季節のあいさつのようなものだ。

 それほど親しくない同僚や知り合いへのプレゼントは、チョコレート(最強に無難なチョイス)、ミニチュアボトルのリキュール、ハンドクリームなどの消耗品が人気で、好みがわかるようになるとマグカップやコースター、身につけるもの、おもしろグッズや個人的なものに変わっていく。月に1度通っているアルバイト先では、最初の年には上司にあたるJさんにチョコレートをいただいた。2年めはハンドクリーム、アジア人のわたしは若く見えるけど実はそんなに歳が離れていないとわかった3年めにはふわふわの冬用スリッパになった。今年はクリスマスランチをしようと誘ってくれたけれど、オミクロン株の感染急増で中止になってしまった(うー、コロナめ)。ちなみにわたしのJさんへのプレゼントは1年めはラベンダーのポプリ、2年めは石けん、3年めはキャンドルで、今年はちょっとすてきなハンドケアのセットにした(Jさんはよくデスクでハンドクリームを塗っているのだ)。Jさん、今年は何にしてくれたかな。

プレゼント追加 - 3.jpeg

右下の2つが今年Jさんにいただいたプレゼント。デキる女はラッピングもキマっている。この国ではもともとプレゼントの包装は自分でしていたので、たまに驚くほど不器用な包みを見かけることもあった。それも、包装紙がくっしゃくしゃだったり、テープがぐるぐる巻きだったりと、日本ではあまりお目にかからないレベルで。それでも、「うまく包めなかった〜、あはは」と本人は笑い、周りも一緒に笑っているだけ。おおらかというか何というか。最近ではクリスマス柄の紙袋に入れるだけとか、お店できれいにラッピングしてもらう選択肢が増えたので、あまりへんてこりんなものは見なくなってしまった。ちょっとさみしい。筆者撮影


 家族や恋人だと格も上がって、アクセサリー、香水、時計、今どきならスマホやタブレットなど。親しい間柄では欲しいものを聞き合ったり、欲しいものリストを交換することも多くて、夫の娘もたまにリストを送ってくる。驚きに欠けるという意見もあるけれど、リクエストに応えれば間違いなく喜んでもらえるので、わたしは肯定派だ。何十人という相手に毎年バリエーションをつけて選ぶのは、案外プレッシャーのかかる作業なのだ。
 ただし、自分のリストを作るのは苦手だ。「これが欲しい」とはなかなか言いにくくて。それでも去年は娘に頼まれて、あわただしい12月に、予算低めを意識しつつリストをなんとかひねり出した。そしてその年、娘の家族から受け取ったプレゼントの中に、わたしがリストに入れたものはひとつもなかった! ただのひとつも。まあ、単なる目安だけどね。わたしは全部リストから選んだけどね。そういうゆるさが英国式だと思うことにする。

Profile

著者プロフィール
ラッシャー貴子

ロンドン在住15年目の英語翻訳者、英国旅行ライター。共訳書『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』、訳書『Why on Earth アイスランド縦断記』、翻訳協力『アメリカの大学生が学んでいる伝え方の教科書』、『英語はもっとイディオムで話そう』など。違う文化や人の暮らしに興味あり。世界中から人が集まるコスモポリタンなロンドンの風景や出会った人たち、英国らしさ、日本人として考えることなどを綴ります。

ブログ:ロンドン 2人暮らし

Twitter:@lonlonsmile

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