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安全保障貿易管理から見るデュアルユース問題
すでに述べたように、大量破壊兵器(特に核兵器)の開発は一定程度以上のスペックを必要とする。そうしたものを管理し、それ以外は自由にする、というのは一つの考え方である。また安全保障貿易管理では通常兵器もワッセナー・アレンジメントという枠組みで管理しているが、ここでは殺傷能力の高い兵器に高い優先順位がつけられている。こうした議論も現在のデュアルユースを巡る議論に資するのではないかと考える。
現在、日本で行われているデュアルユース技術の議論が無意味だとは思わない。しかし、あまりにも政治化されすぎてしまい、本来の目的である科学研究と戦争ないしは軍事利用の関係が、防衛省からの資金提供を受けるかどうか、という問題に収斂してしまっているという印象が強い。本稿で論じた安全保障貿易管理の考え方を踏まえて、いかにして研究成果が戦争目的に利用されないようにするのか、という観点から議論するのも、行き詰まり感のある議論に一石を投じることが出来れば幸いである。
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