新興国市場、3月の純流出額171億ドル 1年7カ月ぶりの大きさ=IIF

4月10日、国際金融協会(IIF)が発表したリポートによると、トランプ米大統領による「相互関税」の導入発表を控えた3月の新興国市場の純流出額が171億ドルとなった。写真は2023年7月、印ムンバイ証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Francis Mascarenhas)
[ロンドン 10日 ロイター] - 国際金融協会(IIF)が10日発表したリポートによると、トランプ米大統領による「相互関税」の導入発表を控えた3月の新興国市場の純流出額が171億ドルとなった。月間ベースの純流出額としては2023年8月以来、1年7カ月ぶりの大きさで、外国人投資家による債券と株式の売却が膨らんだのが要因。
純流出を計上したのはトランプ氏が返り咲くことが決まった昨年11月の大統領選以降で初めてとなり、特に中国からの流出が目立った。
株式市場からの流出が124億ドルとなり、うち約4分の3が中国市場からの流出だった。
債券市場は流入が19億ドルにとどまった一方、流出は67億ドルに及んだ。株式と同様に中国からの流出が多く、流出額が膨らむ要因となった。
こうした背景には、トランプ氏による4月2日の「相互関税」の詳細発表を控え、外国人投資家が3月にポートフォリオの資産構成を変更したことがあった。新興国からの大規模なマネー逃避は、世界的な関税率付加への懸念や経済の先行き不透明感を浮き彫りにした形だ。
IIFによると、4月の最初の2日間は資金流出の規模が大きかったが、3日に安定化の兆しが現れ、今週初めには流入が増加に転じた。ただ、先行きは依然として不透明感が強いという。
IIFのシニアエコノミスト、ジョナサン・フォーチュン氏は「世界的な金利上昇と政策の不確実性が続く中、リスク選好は引き続き抑制される可能性が高い」とコメントした。