死後ももみ消され続けるマイケル・ジャクソンの性虐待疑惑
A Troubled Legacy

慈愛あふれる大スターの児童性的虐待疑惑はかなり濃厚だ CHANNEL4ーSLATE
<『ネバーランドにさよならを2』が問う、キング・オブ・ポップの衝撃と前作「消滅」の不気味さ>
不世出のキング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンには、長年、児童性的虐待疑惑が付きまとってきた。生前に訴訟が起こされたこともあったが、法廷闘争が長引く前に和解が成立したため、真相はうやむやになってきた。
だが、2019年に公開されたドキュメンタリー映画『ネバーランドにさよならを』は、うすうす疑念を抱き続けてきた人たちさえも衝撃を受ける決定打と見なされた。
イギリス人のダン・リード監督によるこの作品で、少年時代にジャクソンの広大な邸宅「ネバーランド」で性的虐待を受けたとする2人の男性、ウェイド・ロブソンとジェームズ・セーフチャックはインタビューで、幼少期のつらい思い出を切々と語った。
同じ頃、米映画界を中心に、権力者による性的暴力を告発する#MeToo(私も)運動が広がりを見せ、もはや有名人でも不道徳な行為を見逃すべきではないし、歳月がたってから声を上げる被害者に不審の目を向けるべきではないという考えが広がった。
だが、3月18日に公開された『ネバーランドにさよならを2』は、ほとんど話題になっていない。これは再びリードが手がけた続編で、40代となったロブソンとセーフチャックが、マイケル・ジャクソン遺産管理財団(MJ財団)を相手取り訴訟を起こす試みに焦点を当てている。
前作はサンダンス映画祭でプレミア放映され、会場はメディア関係者で埋め尽くされたものだが、今回は、アメリカの場合、YouTubeでひっそり公開されたにすぎない。ちなみに公開3日目の再生回数は4万回程度だ。