来週の米地銀決算、関税巡る不確実性による影響に注目

4月10日、来週始まる米地方銀行の第1・四半期決算発表では、トランプ大統領の関税政策に伴う不確実性が実体経済と業績に及ぼす影響が最も関心を集めそうだ。マンハッタンで2023年4月撮影(2025年 ロイター/Mike Segar)
[10日 ロイター] - 来週始まる米地方銀行の第1・四半期決算発表では、トランプ大統領の関税政策に伴う不確実性が実体経済と業績に及ぼす影響が最も関心を集めそうだ。
トランプ氏が9日に「相互関税」の上乗せ部分の発動を90日停止すると明らかにすると、地銀株は売りが一服した。しかしアナリストは、より幅広い問題は未解決のままだと警告する。
B・ライリー・ウエルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「貿易戦争が終わったわけではなく、関税の一部停止によっても世界はトランプ氏によって不安定化される前の状態には戻らなかった」と指摘した。
JPモルガン・チェースのアナリストチームは「関税に起因する短期的な重圧は当面和らいだかもしれないが、地銀は試練の年に直面する公算が大きい」と述べ、事情がはっきりするまで借り手が様子見を維持する中で資金需要は低迷し続けるかもしれないとみている。
投資家は、米中貿易摩擦の激化にも注意を向けるはずだ。世界の2大経済大国の対立は経済成長を圧迫しかねず、経済悪化は米国内の企業や消費者向けの事業依存度が極めて大きい地銀にとって特にリスクが高まる。
地銀は大手行のような「規模のメリット」がなく、トレーディング部門を有していないか、あっても小さいので市場のボラティリティー拡大を収益機会とすることもできない。
トランプ氏が新たな関税措置を最初に発表してから今月9日までの間に、KBW地銀株指数は7.5%下落した。
来週はフィフス・サード、シチズンズ・ファイナンシャルや、リージョンズ・ファイナンシャルといった地銀が決算を発表する予定。第1・四半期の数字そのものよりも、今後の見通しや経営幹部の発言が重視されそうだ。
アナリストの間では、貸倒引当金の急増に対する警戒感も出ている。LSEGが集計したアナリスト予想に基づくと、最大手地銀10行の第1・四半期の貸倒引当金は平均で28%弱増加する見通し。通年では約14%の増加が見込まれている。
これまで今年は、商業不動産向け融資は安定すると期待されていたが、足元で不透明感が高まっているため、今後不動産価格が下落したり、借り換え条件が厳しくなったりすれば、こうした融資が再びストレスを受ける恐れもある。