「破綻国家」ミャンマーを襲った2つの災害が、軍政を終わらせる可能性あり?...政治を揺さぶる「天災の力」
Double Disaster in Myanmar
地震発生時、各地のモスクでは金曜礼拝が行われていて、多数のイスラム教徒が建物の下敷きになった。さらに270人の僧侶が教法試験を受けていたマンダレーの僧院では50人の遺体が見つかり、150人が行方不明のままだ。
ザガインとマンダレーを結ぶ歴史的なアバ橋は崩落し、マンダレーでは空港の建物などが壊滅的な被害を受け、ネピドーでも空港の管制塔が倒れた。停電と断水が続き、通信障害も解消されていない。
ユネスコの世界遺産に登録されている中部バガンの11〜13世紀の遺跡群や、ミャンマーを経由して中国に向かう石油とガスのパイプラインなどの被害も気になるところだが、これらに関する情報はほとんどない。
ミャンマーの国内情勢は外からはつかみにくい。だが、地震に関する軍政とNUGの発表に基づいて、それぞれの支配地域の状況はある程度把握できる。
NUGは各地で独立を求めて戦う20の少数民族武装勢力(EAO)と共闘関係にあると主張。EAOとNUGの軍事部門「国民防衛隊」(PDF)は2023年末から攻勢を強め、国軍が支配していたタイ、ラオス、中国、バングラデシュ、インドとの国境地帯をほぼ全て制圧した。
ラカイン州を拠点とするEAOのアラカン軍はここ数カ月で中国の石油ガス施設を含むラカイン州西部の大半を掌握、州都シットウェを包囲した。