「破綻国家」ミャンマーを襲った2つの災害が、軍政を終わらせる可能性あり?...政治を揺さぶる「天災の力」

Double Disaster in Myanmar

2025年4月8日(火)14時20分
ルーク・ハント(ジャーナリスト)

ミャンマーの首都ネピドーでの救出活動(3月28日)

首都ネピドーでの救出活動(3月28日) AP/AFLO

タイの首都バンコクでも建築中のビルが倒壊し、死者は22人、行方不明者は約70人に上った。被害はベトナムやカンボジアにも及び、その後何日も最大でマグニチュード5.1の揺れが繰り返された。

活断層の「ザガイン断層」は、ミャンマーの中央部を南北に貫いている。北西部のザガイン地域、そこから南に下った首都ネピドー、さらに南の旧首都ヤンゴンはこの活断層の上に位置しているが、今回の地震でこの断層は水平方向に大きくずれた。


ザガインでは、街がぺしゃんこにつぶれ、高層ビルや植民地時代の老朽化した建物、橋などが倒壊し、地面がばっくりと口を開けた。

発表された死傷者数にはばらつきがある。軍政が発表する数字は毎回、民主派が発表する数字より3分の1程度少なめだ。

ノルウェーに本拠を置く独立系放送局「ビルマ民主の声」(DVB)によると、4月4日までに確認された死者は4159人、負傷者は6168人、行方不明者は769人に上るという。DVBは国軍が地震後に82回空爆を行い、63人の死者が出たとも伝えている。

国境地帯は民主派が掌握

「信じ難い暴挙だ。彼らには人間らしさのかけらもないのか」と、ミャンマーの民主派組織「国民統一政府」(NUG)のドゥワラシラー大統領代行(国外亡命中)は語った。

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