アングル:中国にも「働き方改革」の兆し、長時間労働改める企業も

4月9日、 家電メーカーの美的集団など、中国の一部大手企業が今年、従業員に退勤時間を守ることを義務化したり、就業時間後の会議を禁止したりする措置を導入している。写真は3月、朝の通勤時間帯の北京中関村の地下鉄駅で撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)
Farah Master Sophie Yu
[香港/北京 9日 ロイター] - 家電メーカーの美的集団など、中国の一部大手企業が今年、従業員に退勤時間を守ることを義務化したり、就業時間後の会議を禁止したりする措置を導入している。
美的集団の従業員は深夜まで働くことがあったが、今は午後6時20分に退社を求められる。同社が通信アプリの微信(ウィーチャット)に開設する公式ページには「アフターワークに何をしますか。アフターワークこそが本当の生活の始まりです」という歌詞に乗せて演奏するバンドの音楽に耳を傾ける人びとの写真まで掲載された。
こうした動きは、企業からの情報発信として劇的な変化だけに重要な意味がある。ここ15年間、ハイテク業界では長時間労働が当たり前だった。それを象徴するのが「996(朝9時から夜9時まで週6日働くこと)」と呼ばれる慣行で、かつて電子商取引最大手アリババグループの共同創業者ジャック・マー(馬雲)氏が提唱したことでも知られる。
美的集団ほど急激ではないが、同業のハイアールは従業員がソーシャルメディアへの投稿で週5日勤務制度の導入を歓迎。ドローン(無人機)世界最大手DJIでも、午後9時にはオフィスを無人にするという新方針に従業員から喜びの声が聞かれる。
DJIのある従業員は深夜までの勤務が少なくなかったが、「もう地下鉄の終電や帰宅して妻を起こさなければならないことを心配する必要がなくなった」と投稿した。
時代の変化を感じさせる別の兆しとして、ある北京の法律事務所が3月、スタッフへの違法残業に対する是正措置を講じなかったとの理由で罰
金支払いを命じられたことが挙げられる。当局によるそうした処分は異例で、ソーシャルメディアでは肯定的な評価が広がった。
ただ、この流れが中国企業全体に波及するかどうかはまだ分からない。
専門家によると、退勤時間義務化は中国社会からの圧力の高まりではなく、欧州連合(EU)が昨年12月に採択した新たな労働規制に対応したという側面が大きい。新規制は、強制労働によって生産された製品の域内販売を禁じる内容で、過度な残業も強制労働の定義に含まれるからだ。
また「996」は2021年に中国の最高裁で違法と判断されたものの、ハイテクや金融の分野では多くの労働者がまだ異常な長時間勤務を余儀なくされている。近年は毎日0時から0時まで休まず働く「007」という新しい言葉も生まれてきた。
それでも中国政府が、企業に44時間という週労働時間の上限を順守するよう働きかけている意義は大きい。
3月に公表された国務院の消費喚起に向けた計画には、労働者が休息し、休暇を取得する権利を保証し、有給休暇を推奨すべきだと記されている。複数の国営メディアも、そうした点を強調する報道を行ってきた。
時短労働促進は、輸出依存型から消費主導型への経済構造転換を目指す政府の方針とも合致する。トランプ米大統領の関税政策という逆風に見舞われている中国としては、そうした目標達成はより切迫した課題だ。
ただジェフリーズの中国エコノミスト、シュジン・チェン氏は、中国経済の成長が低迷していることや雇用不足に伴う消費者の金銭的な不安の存在を踏まえると、消費喚起は簡単な道のりではないと指摘する。
チェン氏は「政府は国民がもっとリラックスし、休日を増やして消費を拡大してほしがっている。(だが)十分な収入がなく、何とか仕事を続けるのに四苦八苦しているなら、消費するのは非常に難しい」と述べた。
<各国より長い労働時間>
国際労働機関(ILO)のデータに基づくと、昨年の中国の週平均労働時間は46.1時間で、韓国の38.6時間、米国の38時間、日本の36.6時間に比べて長い。
さらに今年1月には週平均49.1時間にまで跳ね上がった。その背景には、雇用の先行き不安によって積極的に残業する労働者の姿勢がありそうだ。
昨年までを振り返っても、中国で過剰な長時間労働への社会的反発が起きたケースは、わずかだが存在した。
2019年と21年には「996」に対してハイテク業界労働者がオンラインで抗議を表明。昨年にはインターネット検索サービス、百度の幹部が、従業員に24時間いつでも電話に出て対応できるようにしろと要求した問題で謝罪を強いられた。
そして今年1月、美的集団は「パフォーマンス的な残業」を禁じる新規定を設け、従業員からは圧倒的な好反応があった、とエアコン部門幹部のチャオ・レイ氏は説明した。
もっとも全ての従業員が、時短労働定着を確信しているわけではない。
24時間いつでも電話があり、休暇中も会議に参加させられたというある従業員は「変化が持続可能かどうか分からない」と口にした。
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